どうも、元山狐(もとやまきつね)です。
随分と久々にケルト神話関連の記事を書こうと思います。
かなり前なんですが、以前ケルト神話のフィアナ記事団の記事を書いていた時に、
「不倫」とか「不義」とか「三角関係」が絡んだ恋愛話は、こういった古い物語には結構ありまして、「アーサー王物語」のランスロットとアーサー王の妃ギネヴィアの不倫、今回の「ケルト神話」シリーズではまだとりあげていませんが、アルスターサイクルのディアドラの物語なんかがあります。
ディアドラの物語は、この「ケルト神話」シリーズを一旦終わらせてから、また紹介をしたいと思います。
みたいなことを書いてました。
ですが、すっかり忘れていましたw
先日自分のブログを見てる時にそれに気付きまして、今更ながら書いてみるとことにします。
舞台
アルスターサイクルに属する物語で、クー・フーリンが活躍していた時代です。
舞台もアルスターがメインとなります。
とはいえ、この物語にクー・フーリンは登場しません。
時期的には「クーリーの牛争い」の少し前。ということになっています。
登場人物
ディアドラ
今回のヒロイン。
ドルイドにより「王と戦士に災いをもたらす」と予言される。
タイトルのとおり悲劇的な運命に翻弄されます。
しかし、ただ気の弱い女性というわけではなく、行動力がある女性です。
コノール・マック・ネッサ
アルスターサイクルは、彼がアルスターを治めている時期にあたりまして、神話上でも偉大な王として位置づけられています。
また、戦士としても優秀だったそうです。
クー・フーリンは彼の妹と、光の神ルーの子供になりますので、クー・フーリンの伯父にあたります。
また彼は、預言者でもありました。
以下の関連記事では、クー・フーリンの不倫によってできた子供コンラがアイルランドにやってくるのですが、
「彼はアイルランドに災いをもたらす」
と予言をして、引き返すように伝令を出します。
※結果、クー・フーリンは我が子を殺す結果となってしまいます。
しかし、そんな偉大なコノール王も今回の物語では・・・。
ノイシュ
ディアドラが成長してから、恋い焦がれる相手。
赤枝の騎士団のメンバーで、優秀な戦士。
あらすじ
コノール王の語り部の長に子供ができました。
しかし、生まれる前にドルイドのカスヴァズから
「生まれてくる女の子には、ディアドラという名前がふさわしい。
彼女はたくさんの災いと死を招く」
と予言されてしまいます。
そして、予言通り女の子が生まれました。
戦士たちはドルイドの予言を信じて、
「赤ん坊を殺した方がいい。」
と言いました。
しかし、コノール王はそれを止めて、言いました。
「このこの不吉な運命をとりのけてやろう。
災いの手の届かぬところで育てるのだ。
そして、年頃になったらわしの妻にしよう。」
・・・1行目と2行目はいいですよね。
3行目
「年頃になったらわしの妻にしよう。」
・・・コイツ、どんなエロゲやってるつもりなんだw
そして、ディアドラは砦の中に隔離されて美しい娘に育ちますが、砦の窓から見かけた戦士ノイシュを見て一目惚れ。
ディアドラはノイシュに猛烈アタックしますが、忠誠心に厚いノイシュは拒みます。
しかし、ディアドラはノイシュの両耳を掴んで
「わたしを連れてここから逃げられないのなら、この二つの耳は「不名誉」と「もの笑い」の印になるでしょう。」
と宣言されて、仕方なくディアドラを連れてスコットランドに逃亡します。
※ここだけ切り取ると、ディアドラも結構な性格してるなw
これに怒り狂った、コノール王は策略を練って、イーガンというファーンマグの王にノイシュを殺させます。
そしてディアドラは、縛られコノール王のところに連れて行かれます。
囚われの身となったディアドラ。
ある日、コノール王はディアドラに
「この世でお前が一番キライなものは何か?」
と聞きます。
もう、この時点で空気の読めない無能なヤツだなぁwとか思うんですが。
当然ディアドラは
「あなたです。」
と言います。
「そして、イーガンも。」
これを聞いたコノール王。
「なら1年間イーガンにお前をくれてやる。」
と言い出します。
そして、馬車に乗せられたディアドラはコノール王とイーガンの間に座らされ、嘲笑われます。
ディアドラはすくっと立ち上がり、馬車から飛び降りると、岩に頭を打ち付け死んでしまいました。
ディアドラが葬られた墓からは、イチイの木(↑の写真)が生えました。
一方、ノイシュの墓からもイチイの木が生えました。
2本の木は大きく育ち、互いの枝をからませ、しっかりと結びついて、引き離すことができなくなりました。
おしまい。
・・・かなり内容を省きましたが、こんなカンジの話しです。
なんだろう、読んでていて、かなり胸糞の悪い話しでした・・・。
コノール王について
今回のエピソードでコノール王は、ロリコンだし、性格が悪いし、全くいいところがありません。
が、登場人物の項でも書きましたが、神話上では偉大で、戦士としても優秀だった。として描かれています。
ケルト神話の英雄とされる神や人々は、光の部分と、闇の部分と多面性を持つことが多くて、今回のエピソードはコノール王の闇の面が出ているのだと思いました。
少し脱線しますが、もう少しコノール王について書きます。
彼はイエス・キリストとも縁があります。
彼の死因は、敵方から受けた「脳弾」と呼ばれる特殊な弾によるものなのですが、撃たれた時に即死したわけではありません。
「破片を取り除けば死ぬ」
と予言されて、彼はその弾を7年間放置したとあります。
イエス・キリストがゴルゴダの丘で磔刑にあった。
と聞いたコノール王は、激しい怒りに襲われ、あまりの怒りと興奮のために、頭の傷口が開き、脳弾の破片が外に飛び出し最期を迎えたそうです。
この時代、アイルランドにはキリスト教は伝わっていませんでした。
また、キリスト教では異教徒の魂は天国に行くことはないとされていましたが、コノール王の魂はイエス・キリストが天国に連れて行った。
と伝えられているそうです。
最後に
ということで、ディアドラの悲劇について紹介しました。
結果的にコノール・マック・ネッサ王に焦点をあてた記事になっちゃいましたがねw
そういえば、光の神ルーにも闇が垣間見えるエピソードがあります。
近々それについても、記事として取り上げたいです。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。