ケルト神話について-12 フィアナ騎士団と周辺の人物たち。

前回「クーリーの牛争い」というエピソードの紹介が終わりましたので、今回から次の章「フェニアンサイクル」について書いていきます。

この章で主に登場するのは、フィン・マックールという伝説の戦士で、前章のアルスターサイクル同様に、英雄譚的な構成となっています。

今まで書いてきた「神話サイクル」や、「アルスターサイクル」に比べると、参考書籍での扱いはかなり少なくて登場する人物もその分少ないのですが、12世紀頃はクー・フーリン以上の人気があったとされています。

今回も物語の流れをご紹介する前に、主役となるフィン・マックールと主な登場人物をご紹介したいと思います。



時代

このフェニアンサイクル(フィン物語群とかフィアナ神話ともいいます。)は、前回まで書いていた、クー・フーリンら「赤枝の騎士団」が活躍していた時代から数百年後の世界で、時代的には3世紀前後と言われています。
日本でいうと弥生時代くらいですね。

舞台は、アルスターサイクル(アルスター地方)からは南のレインスターに移ります。

フィアナ騎士団

クー・フーリンが活躍していた「赤枝の騎士団」よりも更に組織化された職業軍人団。
王への忠誠仲間への友情や礼儀は正しかったようで、後々に物語として成立するアーサー王物語の「円卓の騎士」の原型になったと言われています。
Wikipediaによると団員は全員、母親がダーナ神族とされています。

フィン・マックール

この章の中心となる人物です。
武術だけでなく、豊富に知識を持ち、魔術にも秀でています。

神話サイクルに登場した戦いの神ヌァザの孫娘マーナと、フィアナ騎士団長のクールの間に生まれました。
生来の名は「ディムナ」でしたが、金髪で肌が美しいことからフィン(金色の髪)と呼ばれるようになったのと、クールの息子ということで、マックールと呼ばれるようになります。

フィネガス

高尚なドルイドでフィンの師匠。
フィンに知恵を与える。

オシーン

フィンと妖精サヴァの間に生まれた息子。
勇敢な騎士でもあり、優れた詩人でもある。
後術する、ディルムッド・オディナの親友。

ディルムッド・オディナ

フィアナ騎士団の中でも最強と言われる。
とても美しい容姿を持ち、愛と美を司る妖精王オィングスに育てられた。

ギル・ダッカー

フィンらが狩りの最中に出会った、醜い姿をした大男の騎士。

グラーニャ

マック・マックアート王の娘。
彼女を巡って、フィアナ騎士団同士が争うことになってしまいます。

モーナ

フィンの父親の仇。
フィンの父親を殺し、フィアナ騎士団長になった男です。

最後に

各登場人物の紹介がとてもあっさりしていますが、これ以上詳しく書くと、次の記事で書く予定の内容のネタバレになりそうなのでやめておきます。笑
次回からは、フィンがフィアナ騎士団長になるまでのエピソードをご紹介しようと思っています。

では、今回もお読みいただきありがとうございました。