ケルト神話について-14 フィアナ騎士団と妖精の国

前回に続いて、フェニアンサイクルのエピソードをまとめていきたいと思います。

今回紹介するエピソードは、フィアナ騎士団が妖精の国に行って、戦うっていうとてもファンタジー色の強いものです。
映画とかゲームの題材にしたら面白そうな気がします。



フィアナ騎士団と妖精の国

以前の記事で、アルスターサイクルの「赤枝の騎士団」を紹介している部分で
「戦いがないときは、武術の腕を磨いたり、狩りや釣りをして生活していたようです。」
と書きました。

フィアナ騎士団も同じような過ごし方をしており、1年の半分(5月から10月)は猟犬を連れて狩りをして、残りの半分は屋敷や公共の建物で宴会や集会を開き、客を招いたり、出かけたりして過ごしていました。

ある日、騎士たちが狩りでコルキィラの丘まで来たとき、醜く騎士の格好をした大男と出会いました。

彼は警戒しているフィンたちに礼儀正しく挨拶をし、自分の名前「ギラ・タッカー」を名乗ると、「自分を下僕として使って欲しい。」と申し出てきました。

フィンの禁忌の一つに「自分に仕えたいという者を断ってはいけない」というのがありましたので、彼を1年の契約で雇うことにしました。

※以前アルスターサイクルでも紹介しましたが、この時代の騎士や身分の高い人々は、禁忌(ゲッシュ)を持っていて、それを破ると命に関わる不幸が起こるとされていました。

しかし、フィアナの人々と、醜く大男のギラ・タッカーは馴染めず、人々はいろいろな仕事を言いつけて働かせたり、彼をからかったりしました。

ある時、騎士達がおもしろ半分で、ギラ・タッカーの愛馬に次々とよじ登りました。
愛馬を虐められて怒ったギラ・タッカーは「この屋敷から暇をとる」といって、屋敷を出ました。
そして、すごい速さで西の方に駆け出しました。

それまでは全く動かなかった、愛馬も主人が駆け出したのを見ると、14人もの騎士を乗せたまま、すごい速さで主人の後を追って駆け出しました。

そして、ギラ・タッカーとその愛馬は、14人にプラス馬に追いついて馬の尻尾にしがみついた1人の計15人を引き連れたまま、海に飛込み西の国へと姿を消してしまいました。

フィンたちは、消えた15人を探すため航海に出ました。
そして奇妙な島に到着しました。

海神マナナンと妖精王オィングスに育てられ、身軽なディルムッドが島の探索に出かけました。

そこでオィングスは井戸の騎士に遭遇し、襲ってきた騎士に応戦しますが、この井戸の騎士はオィングスの体に両腕を絡め、泉の中に飛び込みます。

いつまでたっても帰ってこないオィングスを心配して、残っていたフィンたちも島に上陸し、森を進むと妖精の国に着きました。

妖精の国の王宮にはオィングスと居なくなった15人の騎士たちがいて、手厚くもてなされていました。

この国の王はダーナ神族のアヴァータという妖精王でした。

実は王はギル・タッカーに姿をかえて、フィアナ騎士団の助けをかりるためにやってきたのです。

そして、妖精王は他の種族と戦いになっていることを話し、フィンたちに戦いの援助を願います。
フィン、ディルムッド、15人の騎士も加勢を承知しました。

こうして、フィアナ騎士団の働きで、この国の妖精たちは勝利を得ることができました。

妖精王は、お礼についてフィンに尋ねました。
フィンは下僕として働いてくれたので、お礼は結構と述べましたが、連れ去られてきた15人はそれでは気がすまない。と言い出しました。

自分たちと同じように、馬に14人が乗って、1人は尻尾につかまり、ここから逆に本土まで走るようにいいました。
妖精王もそれを快諾しました。

14人の妖精の貴族が馬の背にしがみつき、妖精王がしっぽにしがみついているのを見てフィン達は大爆笑。

そして、本土に着くと妖精達はその姿を消しました。
その後、フィンたちと彼らが会うことはありませんでした。

最後に

このエピソードは結構コミカルな部分があって、まとめていて楽しかったです。

妖精王のやり方が超絶回りくどいな!
ってのと、最後の仕返し?の部分での妖精王のノリがいいのが面白かったです。
多分この王様いいヤツだと思うんですよね。笑

次回は今回の雰囲気とは一転して、シリアスな展開のエピソードを書きたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。