天使と悪魔の階級について

以前書いた「旧約聖書」シリーズで、イスラエル王国のソロモン王について紹介をしました。

旧約聖書-14 イスラム王国 その2(ソロモン王)

その記事の中で、
「イスラエル王国に黄金期とも言える繁栄をもたらしましたが、民に重税を課し、没後には衰退を招いたり、その叡知によって悪魔たちを使役したと賛否両論のある人物で、旧約聖書以外にも「偽ソロモン文書」などオカルトめいた逸話がたくさんある人物です。」

ということを書きました。

また、関連してバアルという悪魔(見方によっては神)についての記事も書きました。

(神?悪魔?)バアルについて

聖書には天使や悪魔が登場したりしますし、「ソロモンの鍵」はじめ聖書に関連して創作されたグリモワールなど、結構オカルトめいたものもあります。

そこで「聖書」シリーズと並行して、天使や悪魔を紹介していくシリーズ記事を書いていこうと思います。

特に順番とかルールは考えてないんですが、聖書シリーズと同時進行していけたらなー。と思います。

今回は、どの悪魔とか天使とかではないんですが、「天使と悪魔の階級」について書いてみたいと思います。

見たところ文書やソースによって微妙に違うので、あくまで一例になるんですが、基本的にこのブログでは、今回紹介する階級に当てはめて紹介していきたいと思ってます。




天使の階級

天使には「天使学」というものがあります。
これは名前そのままで、神の使いに関する研究分野でして、非聖書的なものだという見方が一般的なようです。

中世以降、天使の階級にはたくさんの説が出ているのですが、このブログでは5-6世紀頃のシリアにいた神学者「偽ディオニュシオス・ホ・アレオパギテース」の著作「天上位階論」を基準にします。
ってーか、著者の名前が覚えにくすぎるw「偽」は「ぎ」と読みます。

もともと、この文書は「使徒言行録」という「新約聖書」の一部に出てくる、アレオパゴス(古代の政治機構)のディオニュシオスという方が書いた。
とされていましたが、15世紀になって、

「おい、これ別のディオニュシオスじゃなくね?」

となりまして、「偽」が接頭語としてつけられたそうです。
なんだかかわいそう・・・

で、この偽ディオニュシオスですが、名前が長いし、言いにくいのにで、このブログでは偽ディオさんと呼ぶことにします。
(まぁもう話題に出てくることはないかも知れないけどw)

そんな、偽ディオさんの「天上位階論」によりますと、天使の階級大きく3階級に分かれます。
さらに分類することで9階級になってまして、

上位三隊

  • 熾天使
    (してんし、セラフ、複数形ではセラフィム)
  • 智天使
    (ちてんし、ケルブ、複数形ではケルビム)
  • 座天使
    (ざてんし、ソロネ、スローンとか呼ばれる)

中位三隊

  • 主天使
    (しゅてんし、ドミニオンズ)
  • 力天使
    (りきてんし、ヴァーチュース、デュナミス)
  • 能天使
    (のうてんし、エクスシアイ)

下位三隊

  • 権天使
    (けんてんし、アルヒャイ、複数形ではアルケー、プリンシパリティ)
  • 大天使
    (だいてんし、アークエンジェル)
  • 天使
    (てんし、エンジェル)

といった具合になっているみたいです。

天使が最下位ってのはわかるんだけど、大天使って下から2番目なんだ!

大天使として有名なのって、ミカエルとかラファエル、ガブリエル、ウリエルとかなんですが、大したことないの?
と、思いきや、最上位の熾天使にはミカエルの名前が挙がっていたりするし、天界における中心的な扱いをされていることが多く、「終末の時には7人の大天使がラッパを吹きその時を知らせる」とか言われています。

ってゆーか、天使の数え方は「柱」ではなく「人」なんですねー。

ということで、天使の階級に関しては上下関係と捉えるよりかは「役割の違い」と考えた方がわかりやすいのかも?

各階級に関しては、天使を紹介する記事でもう少し掘り下げて書いてみたいと思います。

悪魔の階級

聖書では神は一人(一柱?)しかいないので、病気や人殺し、盗みなどあらゆる悪を説明するのに悪魔の存在が欠かせません。

なので、悪魔に関する文書はかなりたくさんありまして、悪魔の階級も時代や文書によってまちまちだそうです。

有名なものとしては、17世紀から伝わる「作者不明」のグリモワール(魔導書)「レメゲトン」に書かれている、「ソロモン王がいかに悪魔を使役して名声を得たか」「その悪魔の声質や使役方法」を記述していると言われる「ゴエティア」という文書があるみたいです。
うぉ~おもしろそう!読んでみたい!!

・・・しかし、Amazonで検索してもそれっぽい本も見つからず、今回も手持ちの参考文書とWikipedia先生をソースに書いていきます。

ミカエリス神父「驚嘆すべき物語」による悪魔3階級

有名な話ですが、悪魔の王サタンも、もとは神の使いだったと言われています。
悪魔は堕天使であり、もとは天使だったので、天使時代の階級が悪魔の階級になった可能性が浮上します。

16~17世紀の頃、悪魔憑き事件が多く、1610年にフランスで起きた悪魔憑き事件にあたったのは、エクソシストとして有名なセバスチャン・ミカエリス神父でした。

彼は、憑依していた悪魔バルベリトから他の多数の悪魔の名前や、特徴を聞き出して「驚嘆すべき物語」という本にまとめました。

ヨーハン・ヴァイヤー「悪魔の偽王国」、作者不明「ゴエティア」による階級

16世紀にオランダ南部のヨーハン・ヴァイヤーが書いた「悪魔の偽王国」では、多数の悪魔軍団を従える悪魔界の重鎮たちの名前や役職、特徴などの説明が載っているそうです。
これが、前述の「ゴエティア」の原型となっていると言われています。

ちなみに、「悪魔の偽王国」では69もの悪魔が、「ゴエティア」では72もの悪魔が記載されています。
両文書ともに、中世ヨーロッパでよく見られたような、封建制度を模したものとなっています。

なんとなく、僕は3階級を細分化されたのが「悪魔の偽王国」もしくは「ゴエティア」なのかな?と思ってます。(って両とも読んでないけどw)

なので勝手に、上位(?)、中位(?)、下位(?)も付け足しました。
不要だったら無視してください。

上位(?)

  • 皇帝
  • 大王
  • 大君主
  • 君主

中位(?)

  • 大公爵
  • 公爵
  • 大侯爵
  • 侯爵
  • 大伯爵
  • 伯爵

※2020/04/11追記
僕のミスで、公爵と公爵の順番が逆になっていました。
爵位的には公爵の方が、侯爵よりも上位になります。

下位(?)

  • 大総裁
  • 総裁
  • 騎士

侯爵(こうしゃく)と公爵(こうしゃく)がややこしいw

書物によっては、軍隊を模した階級名で書かれていたりしますが、とりあえずこのブログでは中世ヨーロッパの王族と似たような階級名を基準にしていきたいと思います。

以前紹介したバアルは悪魔としては「大王」だったり、「王」だったり「大君主」だったり、「大公爵」だったり・・・ということで、扱いがかなりブレているんですが、まぁ元々が異教の神で後々になって悪魔に組み込まれたような格好なので、力はさておき古くから悪魔とされている存在に比べると若干不遇な気がします。

前述の項で天使は「人」で数える。と書きました。
対して、悪魔は・・・「匹」「頭」「人」ということで姿によって呼ばれ方が変わるので、一定ではないようです。

ソロモン72柱とかいうから、「柱」なのかな?とか思ったけど、「柱」ってのは多神教における神の数え方なんでしょうね。

最後に

ということで、今回は天使と悪魔の階級について書いてみました。

しかし、こうやって見ると天使に比べると悪魔の方が階級が多くて、上下関係がはっきりしてそうですね。

出世争いがあったりして、案外悪魔もサラリーマンみたく苦労しているのかも知れませんw

ってことで、悪魔にちょっと親近感を覚えたところで、今回は記事を終えたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。