ケルト神話について-16 フィアナ騎士団の悲劇

はじめに

前回、フィアナ騎士団最強の男ディルムッド・オディナとグラーニャの悲劇を紹介しました。

※今までの「ケルト神話」シリーズは記事上にある「ケルト神話」ってボタンを押していただければ、見ていただけます。

その結果、フィン・マックールとフィアナ騎士団のメンバーの間には深い溝ができてしまいました。

しかし、フィアナ騎士団におこる悲劇はそれで終わりではなかったのです・・・

もうこのタイトルと前振りで、ハッピーエンドではないことをネタバレしたようなもんだなw



フィアナ騎士団の悲劇

ある日コーマック王が突然病死しました。
王位は息子であるケルブレが継承しました。

父親のコーマック王とフィアナ騎士団は良好な関係を気付いていましたが、ケルブレはそうではありませんでした。

ケルブレは、強大になり過ぎたフィアナ騎士団を心良く思っておらず、騎士団の排除を目論んだのです。
騎士団の使いを殺害し、宣戦布告をした結果、騎士団を捨てて王につく者と、残る者とに分かれて争うことになります。
この戦いを「ガブラの戦い」というようです。

ちなみに、フィン父親の仇であり、現在は部下にあたる元フィアナ騎士団の長モーナはここで、フィアナ騎士団を見捨てて、ケルブレ側についています。

実は僕はここまでは、モーナはフィンの父親は殺したものの、フィンが騎士団に入る時に特に妨害がなかったのと、今の時点でフィンの部下ってことは相当な高齢だと思うんですが、まぁ年齢はさておき、フィンの父親とは敵対していたとしても、フィンに危害を及ぼす描写がなかったので、実は誠実な男なのだと思っていました。

もしかしたら、前回のオディナとのことでフィンに失望して彼を見捨てたのかも?
とか、見方によってかなり立場が変わって見えてくる人物です。

こうしてフィアナ騎士団と王側の軍勢が戦うことになります。

この戦いの詳細は参考書籍にはなかったのですが、フィンの孫オスカーがケルブレと相打ちになったとあります。

死に際に、フィンが悲しみに涙すると、オスカーは「あなたが死んでも私は泣かない」と言いますが、フィンがオスカーと自分の確執を理解した上で悲しんでいるのを知ると、オスカーも冗談と悲しみに浸って死んでいきました。

孫の死を看取ったフィンは、気持ちを立て直し、以前の勇敢な英雄フィン・マックールにもどり、敵の多くを倒して進みます。

が、一人、また一人と仲間が倒れ、最後にはフィン一人になり、疲労困ぱいになったところで五人の戦士の槍に貫かれて絶命します。

この時フィンは誇り高い面持ちで、槍を受け入れる格好だったそうです。
誇り高き死ってカンジで、なんか北斗の拳のラオウみたいですね。

この戦いでフィアナ騎士団は壊滅し、フィンとともに終わりを迎えました。

こうして、フィアナ騎士団は悲劇の中でその幕を閉じました。
殆どの騎士は生き絶え、生き残ったのはフィンの息子オシーンら数人とあります。

なんか最後はイマイチ盛り上がりにかける終わり方ですが、フェニアンサイクルはこれで終わりとしまして、アイルランドに伝わるケルト神話も一旦終了しようと思います。

正直まとめる前は僕の中では
神話サイクル>アルスターサイクル>フェニアンサイクル だったんですが、まとめ終わる頃には順番は逆転していました。

物語の成立が後だった分、表現も成熟しているというのもあったのかも知れませんが、物語の主役が人間の方がドラマがあってよかったですね。

実は、まとめる中で時系列にあわなくて紹介できなかったエピソードが結構ありまして、これは番外編みたいな格好でまた紹介していきたいと思います。

次はどの神話にするか。とか、どんなスタイルでまとめていくかまだ決めてませんが、まぁまた適当にまとめていきたいと思います。笑

では、最後までお読みいただきありがとうございました。