エジプト神話について-6 ラーの真名を聞いて覚醒するイシス



前回無事にオシリスの身体(遺体)を取り戻すことに成功したイシス。
ところが、この時点で夫を甦らせる手段を持たなかったイシスは、一旦夫の入った櫃を三角洲に隠しました。
そして、かつてエジプトの王として君臨していたラーにコンタクトをとります。
今まで僕が女神イシスに持っていたイメージは、夫、息子(この時点ではまだ生まれていないけど)への愛情が深く、良妻賢母なイメージだったんですが、今回は狡猾な一面が垣間見えるエピソードとなります。

イシスの策略

かつてエジプトの王として君臨していたラー。
この時点ではすでに現世にはいなかったのですが、時々現世に戻っては自身が創造した国に訪れていました。

少し今までのおさらいを含みますが、

  1. アトゥム(=ラー)から、大気の神シューと、湿気の女神テフヌトが生まれました。
    ※ラーは様々な性質と名を持つ神で、「アトゥム」もラーの持つ名の一つといった解釈をしています。
  2. 次に、シューとテフヌトから、大地の神ゲブと、天空の女神ヌトが生まれました。
  3. そして、ゲブとヌトから、オシリス、イシス、セト、ネフティスが生まれました。

つまり、イシスからみるとラーは曽祖父さんにあたります。
イシスはかつてラーが現世にいた頃、高齢になったラーの世話をしていたことがありました。
介護?をしていた時にラーが吐いた唾は土になっていて、イシスはそれをずっと保管していました。

今回のようなことを予見していたのか、それとも元々いずれラーを陥れてやろうという野心を持っていたのかはわかりません。
イシスが念を込めながら、その土をコブラの形して、名前を付けると、その土は(蛇)に命が宿りました。
こうやって物に命を宿せるのなら、夫の遺体にも命を宿せるんじゃない?と思ったんだけど、小さな命を宿すのと死者を甦らせるにはもっと大きな魔力が必要なのかも知れませんね。

そして、ラーがまた現世にやってきた時に、イシスは蛇を放しました。
何もしらずに歩いていたラーに、その蛇はラーに噛みつきました。

ラーは蛇の毒に倒れました。
そして、自身を救う為に神々を呼び寄せました。

知恵の神トトが代表してラーの言葉を聞いたところ、
ラーが蛇に噛まれたことと、ラーの傷を癒すことができるのはひ孫のイシスだけ。
ということだったので、イシスがラーの元に呼び出されました。

ラーの真名を聞いて覚醒するイシス

イシスはラーの傷を癒そうとして、ラーの真の名前を聞き出そうとします。
しかし、ラーは万物を創造する力を持っているその名を明かそうとしません。

これは恐らくわざとだと思うのですが、イシスは他のラーの名前を使って、ラーの体から毒を取り除こうと試みますが、ことごとく失敗。

最後にはラーも毒の痛みに耐えられなくなって、他の神々に席を外させて、イシスと二人になると、ラーの真の名前をイシスにつげます。
すると・・・。

ということで、ラーの真名を得たイシスは覚醒して(?)ラーと同じく、万物を創造する力を持つようになりました。
創造の力を手に入れたイシスは、生と死をほしいままにする力を得ました。
そして、ここからはラーに対してタメ口を利くようになっているようです。(笑)

しかし、
イシス「ククク・・・これでこの世界は私の思うがままだ!」
・・・という展開にはならず、初心からブレないイシスは、夫のオシリスを甦らせるため、三角洲に戻ることにしました。
ついでに(?)この時、イシスは将来生まれてくる息子ホルス(これも力を得て予見したのかな?)にラーの力を受け継がせることにしました。

・・・しかし、この時既にイシスがオシリスを蘇らせようとしていたことは、弟のセトに知られていました。

文字数もそこそこになってきたので、次回に続きたいと思います。(笑)

では、最後までお読みいただきありがとうございました。