ギリシア神話-59 (番外編その1)デメテルの一面



今回は超久々にギリシア神話関連の記事を投稿しようと思います。

このブログではデメテルについて、あまり大きく取り上げたことがありません。
イメージとしては恋愛運に恵まれず、幸薄いカンジです。
一方で、怒ると地上に飢餓をもたらす怖い一面も持っています。

ところで、穀物の神という性質はエジプト神話のオシリスにとても似ています。
そんなデメテルには、前回紹介したエジプト神話オシリスの妻イシスの話ととても似たエピソードがあります。
今回はそんなデメテルのエピソードを紹介したいと思います。

娘の行方を捜すデメテル

冥界の王ハデスがデメテルの娘ペルセポネに一目ぼれをしました。
ハデスはペルセポネを強引に妻にしようとして、強引に冥界に連れて行ってしまいます。
※この話の詳細は、ハデスの記事で書いているので、その顛末は省きます。

ギリシア神話-9 ハデスについて

エジプト神話のイシスは夫を、対してこのエピソードのデメテルは娘の行方を追って旅に出ます。
娘を探す道中でデメテルは、アッティカ(ギリシャのアテネ付近)地方の沿岸部エレウシスに到着しました。
が、ここでも娘の行方がわからず途方に暮れていました。

ちょうどデメテルが泉のそばでかがんでいると、ケレオス王(エレウシスの王)の娘たちが水を汲みにきました。
デメテルを見かけた彼女たちは、デメテルを哀れに思って、王宮で休むように勧めました。

ちなみにこの時のデメテルの風貌は旅の老女だったそうです。
ここはイシスの話と同じですね。
ゼウスやポセイドンに狙われるくらいなので、本来デメテルはとても美しい女神だと思うんだけど、何かを求めて旅をする時って老女とかに化けるのが定番なんでしょうか?

恩を感じたデメテルは、王子の乳母となるが・・・

で、この娘たちや王妃メタネイラの心遣いに感動したデメテルは、王子のデモポンの乳母に志願しました。
これもイシスの話と同じですね。
ここで神であることを明かして、それなりの恩恵を与えるとか褒美を取らせるとかして、娘の居場所を探す旅を続けなよ!って思うんだけど、デメテルはそうしませんでした。

で、恩を感じていたデメテルは王子デモポンを不死身にしようとします。

ところが、この不死を与えるための儀式が、前回紹介したエジプト神話の記事同様に見た目的にちょっと怪しいものでした。

それは・・・神の炎で、赤子のデモポンの体を焼き尽くす。というものでした。

どう見ても「我が炎で燃え尽きるがいい!」みたいに見えますよね。(笑)

この現場を見たメタネイラ王妃は、息子が焼き殺されようとしていると思い、大声で助けを呼びました。

これを見たデメテルは怒って、
「私は女神デメテルである!」
と本来の姿を現し、償いとして、エレウシスの地に(デメテルの)神殿を立てて祭儀を行うように命じて、この地を去りました。

ちゃんちゃん♪

最後は少し違うけど、概ねイシスのエピソードと同じようなエピソードでした。
そもそもエジプト神話を文字にしたのがギリシア人なので、デメテルの話の一部を流用したのかもしれない。
と、いったようなことを、参考にしている「面白いほどよくわかるエジプト神話: スラスラ読めて一気にわかる神々の物語」に書いてありました。

ちなみに、今回のデメテルのエピソードは手持ちの本のうちの一冊「図解 ギリシア神話 歴史がおもしろいシリーズ」にも載っていました。

他何冊かはあまりデメテルのことを取り上げていなかったので、一般的には知れ渡っていないけど、ギリシア神話のデメテルファン、つまりデメテラーにとっちゃまぁ常識よ!くらいのもんでしょうか?

次回からはまたエジプト神話の続きを書こうと思いますが、こうやってちょいちょい他の神話と似たところとか関連性を見つけたら、他の神話の記事も投稿していけたらな。と思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。