エジプト神話について-5 イシスの旅

今回もエジプト神話の続きを書きます。

前回、ドラム缶で東京湾に沈められた・・・ではなく、セトに鉛詰めの棺桶でナイル川に流されたオシリスは、遥か遠くのビズロスに流れ着き、何故か棺桶から芽が出て立派な木になり、宮殿の柱になっていました。
一方で愛する夫を探して、女神イシスは旅をするのでした。
果たしてイシスは夫オシリスを見つけることができるのだろうか!?



夫の居場所を突きとめたIさん

前回も書きましたが、イシスは魔術に長けていて、なんとか夫オシリスの居場所を突きとめました。
オシリスは棺桶に入れられて、ナイル川を北方に流れ、地中海に入りビブロスに・・・っていう説で、このブログは取り扱いますが、最近買い足した本だと、逆に南方のアビドスで「(セトの攻撃を受けて?)ばったり倒れた」ってことになってるんですよね。

まぁ、何回も書いてますが、エジプト神話はいろんな説があって、それぞれのエピソードであまり一貫性がないので、細かなところは気にせず読み進めていくことにします。

オシリスの入った棺桶から生えてきた大樹は、棺桶を中に入れたまま、宮殿の柱になりました。
そして、それから何年か経った後、ビブロスに一人の女性が現れました。

女性は薄汚れていて、いかにも長旅を続けてきた風貌です。
この女性を仮にIさんとします。(笑)
宮殿の女中たちが、Iさんを見かけて哀れに思って、食べ物を与えたり、励ましたりしてくれました。

そうして、Iさんと女中たちが仲良くなると、Iさんは女中たちの髪を結ってあげました。
Iさんが女中たちの髪を結って息を吹きかけると、神々しいまでの香りが漂いました。

王妃がこの香りに気づき、女中からIさんのことを聞くと、女中にIさんを王妃の前に連れてくるようにいいました。
王妃の前に現れたIさん。
二人は一目みた時点で運命のようなものを感じて、すぐに親しくなりました。
そして、Iさんには王妃のおさない子供(息子)の乳母となったのです。

・・・まぁ、Iさん、Iさん書いてましたけど、Iさんはイシスですね。(笑)

正直この流れ、回りくどいと思いませんか?
卑しい身分の者として、王妃に近づいて、柱を譲ってくれるように持ち掛ける流れだと思うんだけど。
それだったら、王とか王妃の夢に現れて、神託を告げてから、訪問すれば柱くらいすぐに譲ってくれるだろう。って思うんですが・・・。
とはいえ、そういうことをすると目立ち、セトの妨害に会うかも・・・ってことでこういう手段に出たのかもしれません。

子供を不老不死にしようとするが・・・

イシスは王妃の子供を見て、一目で彼のことが好きになりました。
そこで、この子を不死身にしてやろうと思いました。
不死を与える力があるんなら、夫にその力を使っておけばよかったのに。(笑)

ところが、この不死を与えるための儀式が、見た目的にちょっと怪しいものでした。

  1. 子供にイシスの指をしゃぶらせます。
  2. 広間を火に放ちます。
  3. 燃え盛る炎の中に子を置きます。
  4. 自身は燕に変身して炎をあおります。
  5. 以上のことを毎晩繰り返します。

訂正します。「ちょっと怪しい」ではなく、「かなり怪しい」でした。(笑)
当然こんな行いを内密に続けるのは無理で、すぐに王妃の耳に噂が入りました。

そして、王妃が噂を確認しようと息子の様子を見に行くと・・・。
「わ、私の息子が炎の中に~!!」
当然ながら、愛する息子を炎の中から連れ去ります。

これを見たイシスは怒りました。

結論:初めからそうしとけ(笑)

怒ったイシスは、本来の女神の姿にもどりました。
そして、威圧的に王妃にこう語りかけるのでした。

「この愚かな女よ!
この私が魔術を統べる女神と知っての狼藉か!
この子はもう少しで不死の身になれるところだったのに、台無しになってしまったじゃないか!」

もうこれ、順番がめちゃくちゃなのがはっきりわかんだね(笑)

しかし、この順番がメチャクチャとはいえ、相手は女神。
勢いに押されたのもあってか、王女は震えながら許しを請いました。

すると、イシスの怒りは収まり、目から涙を流しながら
「どうか私に(オシリスの棺桶が入った)宮殿の柱をください。」
と言うのでした。

で、結果このイシスの申し出は受け入れられました。

ここまでの僕の感想は、この項の見出しのとおりです。(笑)

このエピソードの元ネタはギリシア神話?

これはエジプト神話の記事を書くにあたり、参考にしている「面白いほどよくわかるエジプト神話: スラスラ読めて一気にわかる神々の物語」に書いてあったのですが、
このエピソードとほぼ同じ内容がギリシア神話の穀物の神デメテルにもあるようです。

手元の本をパラっとみたカンジそういった記述が見つけられないんだけど、ちょっと調べてみて、見つかれば、また紹介したいと思います。

ギリシア神話-10 ヘラ、デメテル、ヘスティアについて

無事夫の遺体を確保したイシスは、そのままエジプトに戻ることにしました。
この話の続きはまた次回・・・と思うけど、もしかしたら↑のデメテルの話を先に記事にするかも知れません。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。