ギリシア神話-43 英雄イアソンに向けられる愛憎

どうも、元山狐です。

今回で英雄イアソンの話は一旦終わりとなります。
ヘラクレスに比べるとかなり短かったのですが、むしろヘラクレスでダラダラやり過ぎたと反省しています。笑
今回はラストに相応しいタイトルでイアソンに向けられる愛憎から起こる悲劇的な内容となっております。

次回からは同時代を生きた別の英雄テセウスを紹介していこうと思います。




金羊の毛皮を持ってイオルコスに着いたイアソン

全開金羊の毛皮を手に入れたイアソンは、故郷イオルコスに到着しました。

そこで、現王であり叔父でもあるペリアスに約束どおり王位を譲るように要求しました。

では、ここで問題。
ペリアスは約束どおりイアソンに王位を返還したんでしょうか?

正解っ!
それは否っ!!

今までも見ててずっと思ってたし、お気づきの方も多いと思いますが、ギリシア神話に出てくる王って殆どが約束を反故にするんですよ。
むしろ約束を破るのがデフォルトと思ってます。笑

そこでまたまたメディアの策が炸裂

メディアは前回から登場した、コルキス王の娘でイアソンの妻です。
魔術に長けた彼女は、今回もイアソンの為に一肌脱ぎます。

そこで、彼女が今回やってのけたのは羊の煮込み若返りです。
ちょっとお料理風に紹介しますと。

  1. 老羊をバラバラにっ!細切れにっ!切り刻みます。
  2. 肉塊を大釜で煮込みます。
  3. するとあら不思議!子羊になっちゃった!

これを見たペリアスの娘たちは大驚き。

メディア
「あなた方も父上には、随分と恩があるハズ。
この大釜を譲るので、王を若返らせてみてはいかが?」

ということで、ペリアスの娘たちは

  1. 王をバラバラにっ!細切れにっ!切り刻みます。
  2. 肉塊を大釜で煮込みます。
  3. するとあら不思議!

・・・王のバラバラの肉塊は肉塊のままでした。

その後肉塊は娘たちがおいしくいただきました・・・かどうかはわかりませんが。

これにて愚物は葬り去ったっ!

ということで、イアソンは王位に付く・・・と思いきや、それをペリアスの息子アカストスに譲り、メディアとともにコリントスという別の国に向かいました。

諸説あるのですが、メディアの残酷な魔術を見たイオルコスの民たちが、二人を認めなかったという説があるそうです。

まぁ確かに今回のは、かなり残酷ですよね。
イアソンもヒイたんじゃないだろうか・・・。

激しい愛は激しい憎しみへ

新天地についた2人。

ここでイアソンは熱烈な歓迎を受けます。

そこで、イアソンは王クレオンの娘グラウケを妻として、この国の王になろうと決心します。

Q.メディア「じゃぁ私はどうなるの?」
A.イアソン「お前はもう用済みだ。離婚してくだちい。」

ここまで極端だったかは知りません。
しかし、今までイアソンの為に父を裏切り、弟を殺すことになり、今回のことだってイアソンの為にやったことです。

ここまで尽くした男に捨てられた、女の憎しみ・・・。
もともとメディアはアプロディテの魔法でイアソンを愛するようになったので、愛は通常よりも激しかったのだと思います。
その分、憎しみも激しいハズ。

憎しみに捕らわれてしまったメディア。
彼女はグラウケに魔法をかけたドレスを送りました。

その美しさに惹かれたグラウケは、ドレスを着てしまいました。
すると、グラウケは業火に包まれてしまいました!
燃え盛る娘を助けようとする父クレオンと共に、2人は灰となって果てました・・・。

民はこれに怒り、イアソンとメディアの2人の子を殺してしまいました。

この時メディアは逃亡しアテナイの王アイゲウスの元に身を寄せました。

こうして新たな妻となるだったハズの人、そしてその父、さらには自分の子も・・・愛する人を失い、大きな悲しみに包まれたイアソンですが、その後はコリントスを長きに渡って治め続けたそうです。

最後に

最後で一気に後味の悪い話になったイアソンのエピソードですが、メディアが去った後は放浪し、アルゴー船の残骸の下敷きになって果てたという説もあるので、バッドエンドの中では比較的マシなエンドのものを選んで紹介しました。笑

しかし、今回の話、メディアの愛憎が目立ちますが、自らの出世の為に全てを投げ売った妻を見捨てたイアソンの軽薄さも同じくらい目立ちますよね。

個人的には、アプロディテによって植え付けられた激しすぎる愛が生んだ悲劇・・・って見方をしても面白いと思います。

冒頭にも書いたとおり、次回からはテセウスという英雄を紹介したいと思います。
今回登場したメディアもちょろっと登場するので、そのまま続編として楽しんでいただけたらな。って思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。