ギリシア神話-42 英雄イアソンと黄羊の毛皮

どうも、元山狐です。

前回アルゴー船による航海の末に、コルキスについたイアソン率いるアルゴナウタイ。

今回の冒険の目的は、コルキスの王の持つ黄羊の毛皮を持ち帰り、イアソンが故郷イオルコスの王位をペリアスから奪還することです。

危険な航海を乗り越えてきたイアソンらですが、果たしてコルキスの王はその金羊の毛皮をすんなり渡してくれるのでしょうか?




Q.コルキスの王は金羊の毛皮をすんなり渡してくれるのでしょうか?

A.んなわけねぇだろw

まぁそりゃそうですね。

「オメエらの王位争いなんざ、うちには関係ねぇわ。」
ってもんです。

とはいえ、全く取り合わなかったわけではなく、コルキスの王アイエテスは、毛皮を渡す条件として以下の難題をイアソンに申し渡しました。

  • 炎の息を吐く牡牛に畑を耕させること
  • 竜の牙から生まれる兵士たちを皆倒すこと

なんかヘラクレスの難業みたいなヤツがまた始まりそうですねw
でも、正直この手の話は、ヘラクレスの難業でお腹が一杯なので、今回は詳細を省きます。

難題を与えたアイエテス王本人も本心としては、
「どうせ無理だろうけどね。」
ということだったと思います。

しかし、それを見ていたイアソンを加護を与える神ヘラ英雄たちの神アテナはイアソンを支援する策を思いつきます。
※イアソンがヘラの加護を受けることになった経緯は、前回の記事を見てください。

アイエテス王の娘メディアにイアソンに対する愛を吹き込んだ

ヘラとアテナは美と愛の女神アプロディテに頼んで、
アイエテス王の娘メディアにイアソンに対する愛を吹き込みました。

メディアは、血筋的にも神の後裔にあたり、魔術を得意としていました。

そして、アプロディテの働きによってたちまちイアソンにメロメロになったメディアは、父の意志に反してイアソンに助力し、前述の難題を成功に導きました。

炎の息を吐く牛は、その対策として炎によるダメージを防ぐ魔法をかけました。
ドラゴンクエストのフバーハみたいなもんでしょうか?
この魔法によって、牡牛の吐く炎をものともしないイアソンは難なく牡牛を従わせることに成功し、畑を耕しました。

竜の牙から生まれる兵士たちはスパルトイと呼ばれ、ファンタジーものでは結構有名な骸骨戦士です。
こちらに関しては、メディアのアドバイスにより、
物陰からスパルトイたちの間に石を投げ入れ同士討ちをさせました。

少し話が逸れますが、ここの件は、古事記のオオクニヌシにも似たエピソードがあります。

  • イアソン=オオクニヌシ
  • アイエテス王=スサノオ
  • メディア=スセリビメ(スサノオの娘)

と置き換えるとかなり似ている気がするんですが、ヒロインの支援により英雄が成功する。という話も探せば結構多そうですよね。

2人は結婚の約束を交わし、イアソンは毛皮を手に入れる

こうして、イアソンはメディアの助けもあって金羊の毛皮を入手することができました。

しかし、メディアの裏切りを知ったアイエテス王は、イアソンらに追撃をかけました。
結果、イアソンらはメディアの弟アプシュルトスの命を奪うことになってしまいます。

その際にメディアは自分の魔術の師でもあり、叔母でもあるキルケーに弟殺しの罪を清めてもらったとあります。

キルケーはまだ先になりますが、ギリシア神話に登場するので、そのうち紹介予定です。

過去に書いたキルケーに関連する記事です。

「怖い絵」展に行ってきた。(兵庫)

泉鏡花 「高野聖」について

その後も、嵐に遭うなど災難は続きましたが、神々の加護もあって、イアソンは無事に故郷イオルコスに到着しました。

最後に

今回登場したメディアという人は、恋に落ちて父を裏切り弟を殺すことになりました。
結構激しい性格だなぁ。と思ったのですが、どちらかというとアプロディテの恋の魔法が激しいといった印象でしょうか。

次回イアソンのことを書き終えることになるのですが、そこでまたこのメディアの激しさが際立っています、次回乞うご期待!ってことで。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。