オスカー・ワイルド「幸福な王子」を読んでみた。

Podcastが好きです。
と、いっても聴き始めてから2年経つか、経たないかのにわかですが。

そんな僕がよく聴く番組の一つで、「ベアアタック 怪奇ラジオ」という番組があります。
ベアアタック 怪奇ラジオ

番組自体は終了してるんですが、同じパーソナリティーの竹姫さんが配信してらっしゃる「奇談ラジオ」もよく聴いてます。
奇談ラジオ

そんな怪奇ラジオの「第10回 素敵な恋愛トーク」という回でオスカー・ワイルドの「王女の誕生日」という話が紹介されてました。
怪奇ラジオ「第10回 素敵な恋愛トーク」

僕が知っているオスカー・ワイルドの話は「幸福な王子様」(昔絵本で見た記憶が)なんですが、というかそれオンリーなんですが、献身的なキレイな愛の物語。ってイメージでした。
怪奇ラジオで紹介された「王女の誕生日」は胸糞悪めの話なんですが、今回と買った本を見ると結構そういう話が多い作家さんなんですね。

「サロメ」ってヤンデレ女の話があるんですが、それもこのオスカー・ワイルド作品です。
(有名な作家だから、一般的に知られていて、僕が無知なだけかも・・・)

今回せっかく読んだので、軽く内容を記事にしてみます。




本の概要


著者 オスカー・ワイルド
訳者 西村孝次
新潮文庫

オスカー・ワイルドについて

本の著者欄には以下のように紹介されています。

(以下は『新潮文庫「幸福な王子」ワイルド』の著者紹介からの引用です。)

ダブリンに生れ、同地の大学を経てオクスフォード大学に学ぶ。
「芸術のための芸術」を唱えて唯美主義、芸術至上主義に基づく活動を展開し、フランスやアメリカにまで知られた。
小説「ドリアン・グレイの肖像」や「ウィンダミア卿夫人の扇」など一連の喜劇作品、世紀末文学の代表とされる悲劇「サロメ」などで文名高く時代の寵児となるも、男色罪による獄中生活の後は不遇の晩年を送った。

オスカー・ワイルドは成人してからは文化人として社交界では人気者だったらしく、出で立ちも派手で、風刺マンガのネタにされていたようです。

ということで、唯美主義(耽美主義)が一つのキーワードとなってます。
耽美主義って美に重きを置いた主義。。。ってイメージでよくわかんないんですが、三島由紀夫、夢野久作や江戸川乱歩ら日本の作家にも多大な影響を与えた芸術思潮みたいです。

アイルランドの男色罪・同性愛の歴史について

男色罪で投獄されたとありますので、アイルランドの男色罪の歴史についても軽く調べました。

同性愛については国や、時代によって扱いが異なりますし、現在においても同性愛が罪になる国は80ヶ国程度残っているようです。

オスカー・ワイルドの場合は、この罪で2年間の懲役となっているようです。

その後、アイルランドでは1982年に北アイルランドが同性愛を合法化。

1993年にはソドミー法(特定の性行為を禁止する法律)が廃止。

2015年には同性婚も認められるようになりました。

現在おいては次期首相が38歳でゲイの議員になるというニュースが報じられたりしていて、80年代以降状況が激変してるみたいです。

収録されている物語の一部紹介

全部紹介すると、書籍の価値を下げる恐れもありますので、頭からの3編を概要でご紹介します。

この本は9編で、心がほっこりするような美しい話と、シニカルな話で構成されています。
タイトルの後に(美)と書いてるのが前者、(鬱)と書いてるのが後者です。
※僕の独断で分類しています。

幸福な王子(美)

町に建てられた全身金ピカ、目などのパーツは宝石でできた王子の像が主人公で、通りすがりのつばめ頼んで、自分の身体中にある金目のものを貧乏で不幸な人々に分け与えていきます。

最後には、貧相な像になってしまった王子は解体され、暖かい土地に移るタイミングを逃したツバメは力尽きて死んでしまいます。

が、神はそんな2人の行いを見ていて、2人は天国に導かれてメデタシメデタシ。

ナイチンゲールとばらの花(鬱)

若く美しい若者に惚れたナイチンゲールは、その若者の恋のために赤く美しいバラを手に入れようとします。

ナイチンゲールが命をかけて、自らの血でバラを美しく、赤く染めあげます。

そんなナイチンゲールのことを知らない、若い学生はその赤いバラを手に、恋い焦がれる女性のもとに向かいますが、その女性はバラには興味を持たず、若者も「恋なんてバカらしい!」と怒り、バラをどぶの中に投げ捨てるのでした。

わがままな大男(美)

主人公の大男はわがままで、子供達が自分の家で遊んでいるのを追い出すような男です。

そんな大男を嫌って、彼の庭には春がやってきません。

やがて、大男は自分がわがままだったことを思い知り、改心しました。

その後は、子供達に親切にするようします。
その中でも、大男は1人の子供に心を奪われますが、なかなか会うことが出来ません。

大男が死ぬ直前にその子供は現れます。
そして大男を天国の庭に連れて行くといいます。

子供達が大男の庭にやってくると、大男は木の下で白い花に囲まれて死んでいました。

他の5編

  • 忠実な友達(鬱)
  • すばらしいロケット(鬱)
  • 若い王(美)
  • 王女の誕生日(鬱)
  • 漁師とその魂(美)
  • 星の子(美)




感想

とりあえず僕の独断では(美):(鬱)=5:4となってますが、(美)と書いた話も、殆ど最後には主要な人物は死んでしまいます。
美しいながらもハッピーエンドとは言いにくいものが多くて、人によっては殆どが(鬱)なのかも知れません。笑

出版時期がかなり前なのもあって、訳が僕には若干読みにくいというか、気になる部分がチラホラありました。
が、読みやすい=おもしろい とは思いませんし、童話集ということで1編の長さは短いですから、苦痛というほどではありません。

同じく、オスカー・ワイルドの書いた「サロメ」も何となく話の流れは知ってるんですが、また読んでみたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。