久米仙人について。 久米寺に行ってきました。(奈良県)



今回は奈良県に伝わる伝説の仙人、久米仙人について書いてみたいと思います。
久米仙人はもともとふんわり知っていたのですが、最近「今昔物語集」の関連の本を何冊か読んでまして、そのうちの一冊「超翻案 今昔物語 久米仙人になるか: 他 二話」を読んでより興味が湧いた人物です。
また縁の地である久米寺にも行ってきました。

「今昔物語集」関連の書籍を読んで興味が湧いた

冒頭にも書いていますが、最近「今昔物語集」の関連の本を何冊か読んでまして、うち一冊に久米仙人のことが書かれていました。

↓この本がそうです。

他2冊ほど今昔物語集に関する本を読みました。
それぞれ逸話のいくつかが取り上げられているような本なんだけど、もともとが全31巻から構成された、千を超える仏教の逸話集なので、他の本では久米仙人のことは取り上げられていませんでした。

今までは久米仙人って名前を知っている程度の人物だったので、今回この本を読んで興味が湧いて、久米寺にも行ってきました。

久米仙人について

僕が久米仙人について知っていることは、前項の本に書いてあることとWikipediaに載っていることが基準になります。
特に本の方は、タイトルに「超翻訳」って書いてあるくらいだから、オリジナルの要素もあるように思います。

なぜなら、この本のはじまりに
「(本来今昔物語集は)仏教説話が、中心であるが、本書では、仏教をより身近なものにして伝えようという考えはさらさらない」とか
「ときに忠実に、ときに大胆に、ときに筆者の思い描きたいように翻訳脚色してある。」
「翻訳を超えて、短編小説に近い程、原文を離れて翻訳をした。」
といったことが書いてありまして、この振り切った具合が僕にはかなりツボを突かれた、というか好みです。

この著書の榑林 茂は他にも今昔物語に関する本、他タイトルに惹かれる本が結構あって、kindle unlimitedの対象のようなので、読んでいきたいと思っています。

久米仙人が生まれたのは、欽明天皇の時代とされているようです。
欽明天皇は第29代の天皇なので、古事記の最後の方で名前が出ていましたね。
在位が539年~571年?とされているので、6世紀生まれの人ということになります。

日本神話-39 第26代継体天皇~第29代欽明天皇

で、今昔物語の逸話の舞台となるのが、第45代聖武天皇(在位は724年~749年)の時代です。
本には、仙人の試験に「仮合格」して初飛行中とありますが、Wikipediaでは「いつものように飛行していた」とあります。
この時点で150歳は超えているから、「仮合格」の件はこの本のオリジナル設定なんでしょうかね。

とにかく、飛行中に久米仙人は川で選択をしている女性の足に見とれてしまい、それによって神通力を失って空中から墜落します。

これ、女の人はめちゃくちゃびっくりしただろうなぁ。(笑)

この女性はいい人で、久米仙人を介抱してくれました。
久米仙人とこの女性(本では「道」という名前)は結婚して、そこから久米仙人は普通の人間として生活します。

そして時は流れ、東大寺に大仏殿が建設されることになりました。
その際に人夫が募集されて、久米(元)仙人は応募、材木の運搬に就きました。

元仙人ということで、周囲の同僚は彼のことを「仙人」と呼ぶので、現場を管理する役人がそれを聞きつけ、
「仙人なら神通力で材木を運べない?」
と持ち掛けました。

素直というか真面目というか、久米(元)仙人は役人の言葉を受けて、神通力を取り戻すため修行をはじめます。
本の修行の件かなり面白かったんだけど、ここではそれを省きまして、修行の甲斐あって久米(元)仙人は、いや、久米(元一般人)仙人・・・まぁ久米仙人でいいや(笑)
とにかく、久米仙人は神通力を取り戻しました。

そして、材木を神通力で運び、そのおかげで大仏殿の建設は順調に進みました。
この話を聞いた聖武天皇は、久米仙人に免田(税が免除された土地)30町を褒美として与えました。

この「町」の単位は時代によって定義がまちまちだそうです。
今では 1町 = 約9,900㎡ らしいので、 30町 = 297,000㎡、東京ドーム約6.35個分!?
まぉ、それは流石にないと思うけど、そこそこの広さの土地をもらったということでしょう。

久米仙人はその土地に寺を建てました。
それが久米寺の縁起だそうです。

その後、久米仙人と奥さんは久米寺に住み、数百年後どこかに飛び去ったそうです。


これは今昔物語集ではなくて「和州久米寺流記」という文献に載っているそうです。

久米仙人はともかく、奥さんも仙人並みに長寿?と思ったんだけど、僕の読んだこの本では「実はこの奥さんも仙女」という設定がありました。
これは案外オリジナルではないのかもしれません。

「超翻案 今昔物語 久米仙人になるか: 他 二話」は僕的にはかなり面白かったので、kindle unlimited加入の方は是非読んでみてください。
kindleストアで購入するにしても安価なので、お求めやすいと思いますよ。

久米寺に行ってきました。


先日久米寺に行ってきました。

境内には久米仙人の石像がありまして、石像の足元には「小皿の裏に願い事を書いて、木槌で割る」といったお祈りをすることができます。


「かわらけ割」という古来から伝わる儀式で、自身の災厄をかわらけにうつして、割る。というものみたいです。
今娘が中学3年生なので、合格祈願をしておきました。

また、この寺は前述の久米仙人の伝説にちなんだ寺ですが、
「推古天皇の勅願により、聖徳太子の弟にあたる来目(くめの)皇子が建設」
といったことがお寺の案内板には書かれていました。
来目皇子が眼病を患った際に、兄聖徳太子のすすめで薬師如来に祈願したところ治った。という説話があります。
大同2(807)年、唐から帰国した空海がこの久米寺で大日経を感得しており、「真言宗発祥の地」ともされているようです。

少し話がそれますが、境内で猫2匹を膝にのせて座っている女性を見かけました。
気になって帰ってから調べたんですが、Googleの口コミによると「人懐っこい2匹の猫」という口コミがいくつかありまして、きっとあの猫がそれだったんでしょうね。

近くには和菓子屋さんがあって、そこで食べたいちご大福がおいしかったし、また来たい場所ですね。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。