著者 ポール・ギャリコ
訳者 灰島かり
写真 スザンヌ・サース
ちくま文庫
犬派?猫派?って話よく聞きますが、僕は猫派です。
そして飼っているのはチワワだ!
そんな僕ですが、タイトルが気になって「猫語の教科書」って本を読んでみました。
猫語の教科書の目次
- 編集者の前書き
- 人間の家をのっとる方法
- 人間ってどういう生き物?
- 猫の持ち物、猫の居場所
- 獣医にかかるとき
- おいしいものを食べるには
- 食卓でのおすそわけ
- 魅惑の表情をつくる
- ドアをどうする?
- クリスマスのおたのしみ
- 旅行におともするコツ
- 母になるということ
- じょうずな話し方
- 猫にとっての正しいマナー
- 愛について
- 別宅を持ってしまったら
- これはしちゃダメ
- じゃまする楽しみ
- 子供のしつけと子猫の自立
- 終わりに
- 写真家のメモ
- わたしにとっての「猫語の教科書」大島弓子
はじめタイトルを見たときは「猫語を習得するための教科書」みたいなイメージだったんですが、『猫が人間をしつけて、快適な生活を手に入れる。』という内容の猫が執筆した、猫のためのハウツー本です。
『原稿が一見とても理解できるようなものではなくて、暗号文書に見えるものをポール・ギャリコが解読して編集した。』という体裁(設定)です。
「我輩は猫である」とか猫が主人公で語る形式の物語って結構あるんですが、この本は徹底して「猫が執筆した」ことにしています。
設定が凝っている
本編に入る前の「編集者のまえがき」に、以下のようなことが書かれています。
- ある日、ポール・ギャリコの友人(大手出版社の編集者)の自宅玄関前にタイプされた原稿の分厚い束があった。
- その原稿はとても読めたものではなく、戦時中に暗号解読に携わっていたポール・ギャリコの元に持ち込まれる。
- 原稿の解読を進めるうちにこの原稿は、すばらしく頭の良い猫がタイプライターで書いたものであることが判明。
- この物語の著者を探したところ、レイ・ショア夫妻の家に住む猫「ツィツァ」が浮上した。
- レイ・ショア夫人は写真家「スザンヌ・サース」として活動をしていて、「ツィツァ」がこの家に来た日からずっと写真を取り続けていた。
- 結局「ツィツァ」=この原稿の著者という決定的な証拠は出なかった。
文庫本のカバーにある著者紹介もこのようになっています。
最後の「写真家のメモ」では、著者?のツィツァの飼い主のコメントが書かれていたりして、いろいろと設定が細かいです。
ここは「んなアホな笑」とは言わず、この設定に半分くらい乗っかって楽しむのが吉ですねw
ポール・ギャリコについて
1884年 ニューヨーク生まれ。
スポーツライターを経て作家になる。
無類の猫好きとして知られ、猫を主人公とした「ジェニィ」「トマシーナ」は世界中の猫好きから愛されている。
1967年モナコにて没。
ポール・ギャリコの代表作
- ポセイドン・アドベンチャー
- 雪のひとひら
- ハリスおばさんパリへ行く
- ジェニィ
- トマシーナ
こんな本でした。
「人間といかに上手く付き合うか、いかに人間の自尊心をくすぐって猫の意のままにさせるか」が大筋になっています。
- ターゲットとする家の条件
- 人間の性質について
- 自分専用の物(ベッドとか椅子とか)の確保の仕方
- ご馳走にありつくには
- 自由に家を出入りするには
- などなど・・・
猫だけでなく、人間が読んでも参考になることが書かれています。
各章は短くまとめられていて、長い章でも20ページ程度です。
所々で写真が掲載されているのもあってとても読みやすく、一気に読んでしまいました。
ストーリー性もあって1章1話の30分程度の映像メディアになったら面白そうです。
出てくるご主人が↓のようなイメージで、なんとなく阿部寛を頭の中でキャスティングしています。笑
- そこそこのお金持ち
- 自尊心が強く、妻に対しては少々高圧的?
- 初めは猫を嫌うが、メロメロになってしまう
最後の章「終わりに」では、「章のはじめの方で原稿が破れていたので、数行しか残っていない。」ということになっています。
なんかこの表現がよりリアル感を醸し出して、より余韻が残ったように思います。
この本を読むまでポール・ギャリコのことは知りませんでしたが、シンプルに纏められていて、面白いし読みやすかったです。
あ~でも、これはどっちかというと著者よりも訳者さんの功績なのかな?
訳者の灰島かりさんのことを軽く調べたのですが、この方は児童文学研究者として活躍をしていたらしく(昨年お亡くなりになっています。)、今回の本を読んで思ったのですが、訳された文章がすごく読みやすかった気がします。
結構海外文学って、小説中の呼び名がファーストネームかと思えば、急にニックネームなったりして、登場人物が混乱したりすることがあるのですが、この方の訳はなんとなくそのあたりもわかりやすいし、わかりやすい言葉を選んで訳しているな~。って感じました。
この本だけでなく、多数の書籍を翻訳されているのですが、中には
- ケルトの白馬
- ケルトとローマの息子
- アーサー王の剣
- 炎の戦士クーフリン ケルト神話
という本もあって、読んでみたいです。
でも、今読みたい本もそこそこ溜まってきているしなぁ~。。。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。