「猫語の教科書」読んでみた。


著者 ポール・ギャリコ
訳者 灰島かり
写真 スザンヌ・サース
ちくま文庫

犬派?猫派?って話よく聞きますが、僕は猫派です。
そして飼っているのはチワワだ!

そんな僕ですが、タイトルが気になって「猫語の教科書」って本を読んでみました。

猫語の教科書の目次

  1. 編集者の前書き
  2. 人間の家をのっとる方法
  3. 人間ってどういう生き物?
  4. 猫の持ち物、猫の居場所
  5. 獣医にかかるとき
  6. おいしいものを食べるには
  7. 食卓でのおすそわけ
  8. 魅惑の表情をつくる
  9. ドアをどうする?
  10. クリスマスのおたのしみ
  11. 旅行におともするコツ
  12. 母になるということ
  13. じょうずな話し方
  14. 猫にとっての正しいマナー
  15. 愛について
  16. 別宅を持ってしまったら
  17. これはしちゃダメ
  18. じゃまする楽しみ
  19. 子供のしつけと子猫の自立
  20. 終わりに
  21. 写真家のメモ
  22. わたしにとっての「猫語の教科書」大島弓子

はじめタイトルを見たときは「猫語を習得するための教科書」みたいなイメージだったんですが、『猫が人間をしつけて、快適な生活を手に入れる。』という内容の猫が執筆した、猫のためのハウツー本です。

『原稿が一見とても理解できるようなものではなくて、暗号文書に見えるものをポール・ギャリコが解読して編集した。』という体裁(設定)です。

「我輩は猫である」とか猫が主人公で語る形式の物語って結構あるんですが、この本は徹底して「猫が執筆した」ことにしています。




設定が凝っている

本編に入る前の「編集者のまえがき」に、以下のようなことが書かれています。

  • ある日、ポール・ギャリコの友人(大手出版社の編集者)の自宅玄関前にタイプされた原稿の分厚い束があった。
  • その原稿はとても読めたものではなく、戦時中に暗号解読に携わっていたポール・ギャリコの元に持ち込まれる。
  • 原稿の解読を進めるうちにこの原稿は、すばらしく頭の良い猫がタイプライターで書いたものであることが判明。
  • この物語の著者を探したところ、レイ・ショア夫妻の家に住む猫「ツィツァ」が浮上した。
  • レイ・ショア夫人は写真家「スザンヌ・サース」として活動をしていて、「ツィツァ」がこの家に来た日からずっと写真を取り続けていた。
  • 結局「ツィツァ」=この原稿の著者という決定的な証拠は出なかった。

文庫本のカバーにある著者紹介もこのようになっています。


最後の「写真家のメモ」では、著者?のツィツァの飼い主のコメントが書かれていたりして、いろいろと設定が細かいです。

ここは「んなアホな笑」とは言わず、この設定に半分くらい乗っかって楽しむのが吉ですねw

ポール・ギャリコについて

1884年 ニューヨーク生まれ。
スポーツライターを経て作家になる。
無類の猫好きとして知られ、猫を主人公とした「ジェニィ」「トマシーナ」は世界中の猫好きから愛されている。
1967年モナコにて没。

ポール・ギャリコの代表作

  • ポセイドン・アドベンチャー
  • 雪のひとひら
  • ハリスおばさんパリへ行く
  • ジェニィ
  • トマシーナ

こんな本でした。

「人間といかに上手く付き合うか、いかに人間の自尊心をくすぐって猫の意のままにさせるか」が大筋になっています。

  • ターゲットとする家の条件
  • 人間の性質について
  • 自分専用の物(ベッドとか椅子とか)の確保の仕方
  • ご馳走にありつくには
  • 自由に家を出入りするには
  • などなど・・・

猫だけでなく、人間が読んでも参考になることが書かれています。

各章は短くまとめられていて、長い章でも20ページ程度です。
所々で写真が掲載されているのもあってとても読みやすく、一気に読んでしまいました。

ストーリー性もあって1章1話の30分程度の映像メディアになったら面白そうです。
出てくるご主人が↓のようなイメージで、なんとなく阿部寛を頭の中でキャスティングしています。笑

  • そこそこのお金持ち
  • 自尊心が強く、妻に対しては少々高圧的?
  • 初めは猫を嫌うが、メロメロになってしまう

最後の章「終わりに」では、「章のはじめの方で原稿が破れていたので、数行しか残っていない。」ということになっています。
なんかこの表現がよりリアル感を醸し出して、より余韻が残ったように思います。

この本を読むまでポール・ギャリコのことは知りませんでしたが、シンプルに纏められていて、面白いし読みやすかったです。
あ~でも、これはどっちかというと著者よりも訳者さんの功績なのかな?

訳者の灰島かりさんのことを軽く調べたのですが、この方は児童文学研究者として活躍をしていたらしく(昨年お亡くなりになっています。)、今回の本を読んで思ったのですが、訳された文章がすごく読みやすかった気がします。

結構海外文学って、小説中の呼び名がファーストネームかと思えば、急にニックネームなったりして、登場人物が混乱したりすることがあるのですが、この方の訳はなんとなくそのあたりもわかりやすいし、わかりやすい言葉を選んで訳しているな~。って感じました。

この本だけでなく、多数の書籍を翻訳されているのですが、中には

  • ケルトの白馬
  • ケルトとローマの息子
  • アーサー王の剣
  • 炎の戦士クーフリン ケルト神話

という本もあって、読んでみたいです。

でも、今読みたい本もそこそこ溜まってきているしなぁ~。。。




では、最後までお読みいただきありがとうございました。