新訳 アーサー王物語 読んでみた。

書籍概要

トマス・ブルフィンチ 著
大久保 博 訳
角川文庫

以前この本をぷらっとブックオフで見かけて、何となく買いました。

この当時は、「新訳」どころか根本的にアーサーの王のことは中世の伝説の王様ってくらいしか知らなくて、「円卓の騎士」とか「エクスカリバー」とかファンタジーRPG御用達の単語が盛りだくさんってイメージくらいのイメージでした。

今から思えば、この本がきっかけで「ケルト神話」が気になりだしたのだと思います。

目次

  1. マーリン
  2. アーサー(一)
  3. アーサー(二)
  4. ガーウェイン
  5. ちぢんだ腕のカラドック
  6. 湖のラーンスロット
  7. 荷馬車の冒険
  8. シャロットの乙女
  9. 王妃ギネヴィアの危機
  10. トリストラムとイソウド(一)
  11. トリストラムとイソウド(二)
  12. トリストラムとラーンスロットの闘い
  13. 円卓
  14. パラミーディーズ
  15. トリストラム
  16. パーシヴァル
  17. 聖杯(一)
  18. 聖杯(二)
  19. 聖杯(三)
  20. アグラヴェインの裏切り
  21. アーサーの死

目次を見た時点で思ったのが、アーサー王の存在感が思った以上に薄いな。wってカンジでした。




目次を見て、聞き覚えある名前が

多いと思いませんか?
「七つの大罪」に出てくるキャラクター名に引用されているのが多いんですが、「七つの大罪」の鈴木真央先生の他の作品にもアーサー王物語の登場人物から付けられた名前のものが多いです。

七つの大罪

  • メリオダス
  • エリザベス
  • アーサー
  • マーリン
  • バン
  • エレイン
  • ゴウセル
  • などなど・・・

    ライジング・インパクト

  • ガーヴェイン
  • ラーンスロット
  • トリスタン
  • などなど・・・

    かなりの数のキャラクターの名前がアーサー王物語から引用されているんですね。

    軽く登場人物の紹介

    いずれ機会をみて、このアーサー王物語もシリーズとして記事にしていきたいのですが、今回は主要な登場人物を軽くご紹介します。

    マーリン

  • インキュバスの父と人間の母の間に生まれた子供。(男)
  • アーサー王の親(ウーゼル)の頃から、顧問官として物語に登場。
  • 王に忠実に仕えるが、いたずら好き。
  • ウーゼル王(アーサーの父)の時代に「円卓の騎士」制度を作る。
  • 恋人は妖精のヴィヴィアン
  • 妖精ヴィヴィアンの裏切りによって、人間の前から姿を消してしまう。
  • アーサー

  • タイトルのとおり、物語の主人公
  • 王位継承には多数の反対意見があった。
    が、不思議な石に刺さった剣エクスカリバーを引き抜くことで皆の賛同を得て、王に。
  • マーリンの計画により、カーマライドの王レオデグランスの娘ギネヴィアと結婚。
  • その後国内の様々な勢力を制圧し、王国を建設。
  • 国外にもどんどん進出して、親族や仕える貴族たちに与える。
  • ローマ皇帝から貢物の要求がくるが、アーサーはそれを拒絶、戦争になり勝利。
    ※もちろん史実ではありません。口承の中で地元補正がかかったのかな?
  • 物語の後半「聖杯探求編」の後、(アグラヴェインとモウドレッドの謀らいで)ギネヴィアとラーンスロットの不倫を知り、ラーンスロットと対立。
  • この戦争の最中、モウドレッドが謀反を起こす。辛くもアーサーが勝利するが、その時の負傷が元になり息を引き取る。
  • ガーヴェイン

  • アーサー王の甥っ子
  • 円卓の騎士の中でも最も名高い騎士の一人。
  • 武力だけでなく、人格的にも優れ、人々の尊敬を集める。
  • 聖杯探求編後、ラーンスロットと対立、聖人から不思議な力を授かって、ラーンスロットと戦うが敗れる。
  • ラーンスロットとの戦いで重症を負い、傷が癒えぬままモウドレッドとの合戦に挑み、更に重症になり息を引き取る。
  • ラーンスロット

  • 18歳まで妖精の教育を受ける。
  • 湖のラーンスロットと呼ばれる。
  • 武力に長け、トーナメントでは負け知らず。人々の尊敬を集める。
  • その後旅に出て成果をあげるなどして、ますます人々の尊敬が集まる。
  • アーサー王の妃ギネヴィアと不倫の関係になる。
  • 聖杯編では不倫の罪を懺悔し、二度と関係を持たないように誓う
    ※だが、聖杯編後にまた関係を持ってしまう
  • 不倫がバレて、アーサー王、ガーヴェインと争いになる。
    ※だが、戦争の最中に、アーサー王側で謀反が起こり、戦いは中断される。
  • アーサー死後、尼僧となったギネヴィアと出会い別れを誓う。
    その後は法衣に身を包み、祈祷と精進の日々を送り他界する。
  • トリストラム

    ※物語中の登場頻度も高く、実はコイツが主役なんじゃないか?と思ってますw

  • レオノイズ国の王メリアダスとイザベラの子
  • メリアダスの後妻に命を狙われ、従者のゴウヴァネイルと共にフランスに亡命。フランスで騎士として成長する。
  • その後すったもんだあり、様々な国を追放されたり、恋愛したり、アーサー王の危機を救ったり、トーナメントで栄誉を勝ち取ったり。
  • 途中に出てくる恋愛話が結構切ない。
  • 恋敵とのエピソードがなんだかアツい。
  • 武力的にはラーンスロットとほぼ同じ、もしくはそれ以上。
  • 途中ラーンスロットとBLっぽい描写がある。。。
  • イソウドという女性と結婚するが、最後は闘いの中で息を引き取る。
    その後妻のイソウドもショックで息を引き取る。
  • なんとなく武力ランク

    トリストラム = ラーンスロット > ガーウェイン > アーサー王 > 他の人達

    ※異論は認めまくります。

    最後に

    300ページ超えで結構なボリュームもあり、読むのに丸1日かかりました。

    読み物としても面白いんだけど、今回読んだことで今後RPGのゲームとか漫画で彼らの名前が出た時により一層面白みが深くなるんじゃあないでしょうかね。

    主要人物の大半が女性関係で身を滅ぼしているような気がしますが、英雄譚ってそのパターンが多くて、当時の様式美だったのかな?

    全般とおして読みやすく、アーサー王伝説に触れるエントリー本としてはぴったりだと思ってます。

    この手の英雄譚的なヤツでは「ニーベルンゲンの歌(ジークフリートの伝説)」とかが有名なので、いつか読みたいです。




    では、最後までお読みいただきありがとうございました。