ケルト神話について-7 ミレー族とその後のダーナ神族

今回はダーナ神族がアイルランドを支配した後にやってきた、「ミレー族」とその後のダーナ神族について書いてみます。



あらすじ

ダーナ神族達が支配をする、アイルランドの島にミレー族達が上陸してきました。
彼らは、首都ターラに向かう途中で、?エリウ、バンヴァ、フォードラという3人の女神に出会います。

三人の女神について(補足)

ここで登場する、エリウ、バンヴァ、フォードラは? 前回紹介をしたモリガンら戦いの女神達のように、三相女神と言われています。
ダーナ神族の王3人(全能の神ダグダの孫のマクィール、マクケフト、マクグレーネの3名)それぞれの妃です。

ケルト人達は3という数字が好きらしく、3人で1人的な扱いは女神だけでなく、ゴブニュ、ルフタ、クルーニャら男神三神が工芸の神として祀られているケースもあります。

Wikipediaによると戦いと豊穣の女神とありました。
なんかモリガンらとキャラが被るんだけど、世代的にももうちょっと後みたいだし、なんか関連があるんでしょうかね?

この3人の女神は、それぞれ自分の名を土地の名前として名付けてくれ。とお願いをしてきます。

ミレー族は最後に出会ったエリウの名をとって、アイルランドを「エリン(エリウのものという意味)」と名付けます
(これは長い間アイルランド島の古い呼び名として使われました)

後のティルタウンの戦で、ミレー族はダーナ神族を打ち破り、アイルランドを支配することになります。
※この時の戦いで三人の女神は、最後には王と一緒に殺されてしまう。とありました。
なんだか立ち位置微妙な気がせんでもないんですが、持っている書籍にはあまりこの戦いの詳細に関する記述は見つけられませんでした。

これは僕の妄想ですが、
ミレー族たちが上陸をしてきた時に、この女神はミレー族らと戦い、敗れ、その際に自分たちの名前をつけるようにお願いしたって流れなのかな?とか思ってます。

戦いに敗れたダーナ神族ですが、彼らはその後も魔法の力で食べ物を奪ったり抵抗をして、アイルランドを地上と地下にわけ、地下をダーナ神族のものとすることをミレー族に認めさせています。

その後、ミレー族は、エーレウォーンとエーヴェルという兄弟が、北と南に分けてアイルランドを支配するのですが、1年後には争うことになり、勝利したエーレウォーンがアイルランド全土を支配することになります。

ミレー族について補足

神々であるダーナ神族に打ち勝つミレー族ですが、彼らはあくまで人間の種族です。
人間が神々を打ち倒して、支配を勝ち取るって展開ってちょっと珍しくないですか?

神話サイクルはミレー族が、アイルランドを支配するところで終りとなります。
その後のアルスターサイクル以降に登場する、クー・フーリン、フィン・マク・クウィルらはミレー族の子孫にあたり、ミレー族がケルト人(ゲール族)の祖で、現在のアイルランドの礎となったと言われています。

その後のダーナ神族

ミレー族に敗れたダーナ神族ですが、前述にあるとおり、地下に住居を定めることになったので、全員が殺されたわけではありません。
これ以後も神として、物語に登場したりします。

ダーナ神族達の住む地下は、異界や妖精の塚として扱われ、以後も神格化されています。
※ダーナ神族への信仰が薄れ、零落したものが妖精だったり、小人と言われる。

話の流れの中では触れることができなかったのですが、今回の記事を書くにあたって、参考の1つとしている「ケルト神話と中世騎士物語」(田中仁彦 著 中公新書)に興味深い説がありました。

本書の中でも断定するような書き方ではなく、正否が不明で推測の域を出ないとは思いますが、神話や古代の逸話のあやふやな部分って、「あれやこれやを妄想して楽しむ余地」だと思ってまして、そういう余地候補として箇条書きにしておきます。

  • ダーナ神族は新石器時代の民族で、高度な文明を持っており、巨石遺跡も彼らが作った?
    ※有名なストーン・ヘンジは同じくケルト地方に伝わる「アーサー王伝説」の魔法使いマーリンが作ったと言われる。
  • ダーナ神族 = アトランティス人?
  • ハロウィンは、ダーナ神族達の魂を鎮めるための祭が元になった?
    ※ハロウィンは古代ケルト人が起源と言われているので、結構信憑性があるかも。
  • 最後に

    今回で「神話サイクル」のあらすじを一通り紹介しました。

    あらすじでは触れることがなかった、各神々にまつわるエピソードもたくさんあるのですが、紹介しだすとキリがなさそうです。

    とりあえずは「アルスターサイクル」に話を進めまして、所々で箸休め的なカンジで神々にまつわるエピソードを紹介していけたらと思います。

    では、最後までお読みいただきありがとうございました。