エジプト神話について-2 ヌトの出産

今回も前回に続いてエジプト神話について書きます。
前回は混沌とした海「ヌン」から太陽神アトゥムが生まれて、それから大気、湿気と新たな神が生まれて、さらに大地と天空の神が生まれて・・・。という話の流れでした。
今回はその天空の女神ヌトが夫の子を宿して、出産するまでの流れを書きたいと思います。
知恵の神トトの活躍が見どころです。



ヌトにかけられた呪い

前回の記事の終盤に書きましたが、ゲブとヌトの間には4人の子たち、というか4神が生まれました。
天空の女神ヌトと大地の神ゲブが、父シューによって引き離された時、ヌトは妊娠していました。
ヌトとゲブが引き離された時、一番怒っているのは、2人を引き離したシューだと思ったんですけど、もっと怒ってる人(神)がいました。

それはヌトの祖父にあたる太陽神アトゥムでした。
なんとアトゥムは1年のどの日にもヌトが出産できない呪いをかけていたのです!

おじいちゃんって、孫には甘いもんじゃないの?
もし、ヌトのお腹の中で子たちが成長して大きくなったら・・・。
お腹が破裂!?こわっ!

と、考えると身内にかけるような呪いじゃねぇよ!って思うんだけど、ヌトは天空の神だし体が大きいから平気なのかも?とか、一定の年月が経ったら呪いを解くつもりだったのかも。とか思うところはあるんですよね。
アトゥムって、一応ヘリオポリスの主神ですしね。(とは言え、既に読んでいる他のエピソードを見ていると、耄碌したところが強調されたようなエピソードが多いんですが。)

エジプト神話について-1世界のはじまり

知恵の神トト

そんなヌトを見た、知恵の神トトはヌトを憐れんで、なんとか産ませてあげようと動き出します。

・・・知恵の神トトってのは有名な神様なので、名前は知ってるんだけど、いつ生まれた!?
と、思って確認したところ、手持ちの本には納得のいくトトの誕生についての記述は見つからなかったんですが、Wikipediaによると、以下のような説が書かれていました。

  1. 世界ができた時 自身の力で石から生まれた
  2. オシリスの末弟
  3. セトの頭を割って誕生した
  4. オグドアドの神々に作られた

2.と3.に関しては、オシリスとセトは、ヌトから産まれる神なので、今回の話とあまりに理屈が合わないし、4.に関しては、前回チラッと書いたヘルモポリスに伝わる創世神話に絡みがあるんですが、あまり今回深く取り上げる気はないので、この記事では1.の自らの意思で石から・・・ハッ、トトもアトゥムと同じくダジャレの使い手!?(笑)まぁその説推しで行きたいと思います。

トトの仕掛けた闇のゲーム(笑)

トトは一体どんな手を使ってヌトの出産を助けたのでしょう。

なんと月に「セネト」と呼ばれるゲーム(現在見つかっているボードゲームの中では最古にあたり、エジプト将棋とも呼ばれる。)を仕掛け、ヌトが出産するために5日もの時間を勝ち得ます。

このことからトトは「知恵の神」以外にも、「時の神」や「月の神」、「書物の神」といった様々な異名?設定?が盛り込まれることになります。

見出しはなんとなくエジプトで、ボードゲーム・・・ということで、初期の頃の遊戯王の闇のゲームを思い出したからです。(笑)
(途中からカードゲームみたいな流れになっていって、読んでないんだけど)

まぁでも僕的に「トト神」といえば、「ジョジョの奇妙な冒険」の第3部のエジプト編に登場した、トト神のスタンド使い「ボインゴ」が一番思い出深いですね!

こうしてヌトは無事出産した

トト神の活躍の甲斐もあって、ヌトは4神を産みました。

  1. オシリス
  2. イシス
  3. セト
  4. ネフティス

今回新たに生まれた4神、そして既に登場しているアトゥム(ラー)、シュー、テフヌト、ゲブ、ヌトを合わせて「ヘリオポリス九柱神」と呼ぶようです。
・・・が、このメンバーも今回活躍したトトや、今後登場する予定のホルスらと入れ替わる説などがあるので、一概に断言し辛いですね。

まぁ個人的にこのあたりまでの話をまとめていくにあたり、ヌトの夫にあたるゲブは全く活躍していないし、前回の絵でも妻が苦しんでいるのに随分とリラックスしているみたいだし、あまりいい夫とは言い難いし、九柱神から外れても違和感はありません!(笑)


※前回載せていた絵。下でリラックスしている?のが夫のゲブ。

次回からはこのゲブ・ヌトの子達(神達)が繰り広げるエジプト神話の中でも一番ポピュラー?な「オシリス神話」の話を書いていきたいと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。