今回もギルガメシュ叙事詩を紹介していきます。
前回は
「暴君ギルガメシュに民が苦しめられるのを見かねて、神は野人エンキドゥを造った」
「エンキドゥと出会うことでギルガメシュは改心し、また二人は硬い友情で結ばれた」
ということを書きました。
今回はそんな二人が出会ってからの話で、杉の森の守神フンババを征伐する冒険譚を紹介します。
旅立ち(茶番あり)
どうしたの?なんか元気ないね。
・・・退屈だ。
そっか、じゃぁ二人で「退屈ごっこ」しようぜ!
なんだ?その「退屈ごっこ」ってのは?
な~に、簡単さ!
二人で退屈な素振りをする遊びさ!
え?ナニソレ?面白いの?
よし、じゃぁ今からね!
スタートっ!
・・・。
暇だね~。
・・・うん、退屈だね・・・。
ね~。
お、おぅ・・・。
こうして二人は、一生退屈に、平和に過ごしましたとさ。
チャン♪チャン♪
とはいきませんでした。
ウルクの平和な生活に退屈していたエンキドゥですが、実はギルガメシュも同じ思いだったのです。
そこで、ギルガメシュは杉の森に遠征して、森の守神フンババを倒そうとエンキドゥに持ちかけます。
しかし、フンババは元々野人でその当時にフンババを見たことがあります。
フンババの手下の杉の森の見張り番は、力強く、眠ることがない戦士で、
フンババはエンリル(至高神)から森の守神を任命され、「口は火を(吐く?)」「吐息は死を(招く?)」「咆哮は洪水(を呼ぶ?)」という強大な巨人であり、「とても危険な冒険になる」とギルガメシュを止めようとしました。
しかし、ギルガメシュはそんな恐れを笑い飛ばし、こういいました。
ちくま学芸文庫 「ギルガメシュ叙事詩」 矢島文夫 訳 からの抜粋
太陽のもとに永遠に生きるのは神々のみ
人間というものは、その生きる日数に限りがある
彼らのなすことは、すべて風にすぎない
お前はここでさえ死を恐れている
お前の英雄たる力強さはどうしてしまったのだ
私をお前より先に行かせてくれ
お前の口に呼ばわせよ、『進め、恐れるな』と
私が倒れれば、私は名をあげるのだ
『ギルガメシュは恐ろしきフンババとの戦いに倒れたのだ』と
我が家の子孫ののちのちまでも
つまりは、「永遠の名誉を求めているので、(その為ならば)この命、惜しくない。」ということですかね?
この覚悟をエンキドゥに話し、説得します。
その後はウルクの長老たちに相談をして、旅人の守護神である太陽神シャマシュ(天神アヌの息子、正義を司る)にフンババ討伐の許可と加護を得て、ウルクの武器職人たちに巨大な武器を作らせます。
こうして、ギルガメシュは旅の準備を整え、杉の森に向かいました。
森の見張り番
先程の項では、ギルガメシュはエンキドゥを勇気づけてフンババ討伐に向かう。
といった流れでした。
旅に出て、彼らはその森まで着きました。
ここにはフンババの手下であり、エンキドゥが言っていた、杉の森の見張り番がいました。
ギルガメシュはこれを見ておじけづきました。
んっ!?
えっ!?
もう、1回確認しておきましょう。
彼はエンキドゥに向かってこう言いました。
ちくま学芸文庫 「ギルガメシュ叙事詩」 矢島文夫 訳 からの抜粋
太陽のもとに永遠に生きるのは神々のみ
人間というものは、その生きる日数に限りがある
彼らのなすことは、すべて風にすぎない
お前はここでさえ死を恐れている
お前の英雄たる力強さはどうしてしまったのだ
私をお前より先に行かせてくれ
お前の口に呼ばわせよ、『進め、恐れるな』と
私が倒れれば、私は名をあげるのだ
『ギルガメシュは恐ろしきフンババとの戦いに倒れたのだ』と
我が家の子孫ののちのちまでも
ええ、大切なので2回も抜粋しました。
つまりは、
「永遠の名誉を求めているので、(その為ならば)この命、惜しくない。」ということですよね?(これも2回目)
この覚悟を話して、エンキドゥを説得したギルガメシュさん。
さっそくヘタれていて草不可避ですww
そして、この戦いが直接の原因となっているかどうかがナゾですが、エンキドゥさんはここで呪いのかかった森の門に触れてしまい、手が動かなくなるという痛手を蒙ります。
もう、なんかね、エンキドゥさんが不憫で不憫でw
まぁしかし、その後も二人はなんだかんだで困難を乗り越えて、フンババの元まで辿り着きます。
森の守神フンババ
こうして、困難を乗り越えて、二人はフンババのもとまで辿り着きました。
「フンババがあらわれた!」
\ フンババァァァァ~!!(鳴き声) /
※多分こんなんではないと思いますw
ここで、守護神シャマシュの加護として、力強い八つの風がフンババに対して起こります。
これでドラ◯エ的な演出ですと、魔王の魔力が弱まるとかそういう演出だと思うでしょう!?
フンババはこの風を受けて降参しますww
ここまでで、ギルガメシュ先輩の活躍って何かありましたっけ?w
しかし、ここでエンキドゥは命乞いをするフンババを見て、ギルガメシュにこう言います。
「フンババの言葉を聞くな、彼は生かしてはならぬ。」
こうして、二人の英雄はフンババの頭を切り落とし、意気揚々とウルクへ凱旋するのでした。
※ここまで読んで、フンババが人々に災いをもたらしたり、攻撃をしかけてきたような描写が見つけられませんでした。
しかも「フンババはエンリル(至高神)から森の守神を任命され」と書いていましたが、基本的には神の命に従って杉の森を守ってきたんですよね?
一方ギルガメシュは自分たちの退屈紛れと名誉のためにフンババの命を刈り取ったわけです。(我ながらかなり偏って見てるなw)
まぁこの解釈は極端とは言え、ちょっとフンババがかわいそうな気がしますね。
もしかしたら、エンキドゥは
生かしておくと後に復讐するかもしれない。
エンリルに告げ口するかもしれない。
とギルガメシュの身を案じてこういったのかも知れません。
この後、ウルクへの帰路につく彼らですが、ここから物語はまた新たな展開を見せます。
続きはまた次回書こうと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。