前回はギリシア神話における人間について書きました。
今回はそんな人間たちと関わりの深い、プロメテウスという神について書いてみたいと思います。
出身はティタン神族
プロメテウスはウラノス(初代神々の王)とガイアの子イアペトスの子になります。
ウラノスを追放したクロノスとイアペトスは兄弟なので、プロメテウスはクロノスの甥になりますね。
なので、どちらかと言えばゼウスらオリュンポス神族とは敵対するのが自然なのですが、先見の明を持つ者という意味の名を持つプロメテウスは早々にオリュンポス神族側についたとされています。
が、ゼウスらオリュンポス神族に忠誠心を持っていたわけではなくて、ゼウスを出し抜く機会を伺っていたようです。
兄弟の名も有名
プロメテウスは当然として、その兄弟の名前も有名です。
アトラス
天空を支える神として有名です。
怪力で、ティタノマキアでオリュンポス神族の脅威となったアトラスは、その脅威さ故に敗戦後の扱いは悪く、ゼウスに世界の果てで天空を背負うという役目を与えられました。
これはとても苦痛だったと言われています。
後のヘラクレスのエピソードでも登場する予定です。
RPGでも屈強な身体をもったキャラクターとして、登場している作品が多いと思います。
エピメテウス
あまり有名じゃない気がしますが、というか僕自身、この名前は今回の記事を書くために調べるまで知りませんでした。
プロメテウスの弟にあたるエピメテウスの名の意味は「後の知恵」で、行動や失敗した後にああしていればよかった~。というプロメテウスとは対比的な存在のようです。
ギリシア神話において「パンドラ」という名前は有名だと思います。
(「パンドラの箱」というエピソードが有名ですが、これは今後の記事で紹介をしていきます。)
エピメテウスはそのパンドラの夫にあたります。
プロメテウスの火
前述で、「 ゼウスらオリュンポス神族に忠誠心を持っていたわけではなくて、ゼウスを出し抜く機会を伺っていたようです。」と書きました。
ゼウスが神々と人間の間に区別を設けようとした時に、プロメテウスはその役割を自分に任せてほしいと志願して、ゼウスの了解を得ました。
するとプロメテウスは大きな牛を殺して、
- 肉と内臓を食べられない皮で包んだもの
- 骨のまわりを脂身で包んだもの
の二つにわけました。
そしてゼウスを呼び、どちらかを選ぶようにさせました。
プロメテウス的には2.の一見美味しそうなものをゼウスが選ぶと思っていました。
1.の方がおいしくて栄養があり、そちらが人間にいくことを計画していたのです。
これは実はゼウスがその計画を知っていて敢えて選んだ説、そうではなくプロメテウスの計画にまんまとやられた説、どちらも存在するのですが、結果的にゼウスは2.を選びました。
しかし、神はもともと不死身なので、根本的に2.を選ぶ必要性はありません。
骨は腐ることがなく、不死身の神にこそ相応しいと言えますが、人間は肉や内臓のように短時間で朽ち果ててしまうようになってしまいました。
このエピソードはおそらくバナナ型神話に分類されると思いますが、この記事でそれを書き出すと脱線しそうなので、今回では書くことをやめておきます。
ここからが、見出しの内容のメインになります。
ゼウスはこの件があって、さらに人類から「火」を取り上げました。
そこで、人類を哀れんだプロメテウスは天界にある火(炎と鍛冶の神ヘパイストスの所にあった炉の炎)を盗んで、人間に与えました。
これによって、人間は火による様々な恩恵を受けましたが、後にその火を使って武器を作り戦争をしだすようになってしまいました。
この件で、プロメテウスはゼウスの怒りを買い、コーカサス山に縛り付けられ、毎日肝臓をハゲタカについばまれるという残酷な計に処されることになります。
普通ならあっという間に死に至りますが、プロメテウスもまた不死のため、夜中のうちに肝臓は再生します。
再生→ついばまれる→再生→ついばまれる・・・こんな拷問が3万年近く続いたと言われています。
僕が好きな漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第5部、ジョルノ・ジョバァーナのセリフに
「終わりがないのが終わり」ってのがありますが、まさにこれがそうですね。
しかし、後にヘラクレスが現れて解放され、ゼウスとプロメテウスは和解したとあります。
最後に
前回の記事で、ギリシア神話における人間について書きました。
そして、人間の「英雄の時代」は、大洪水の後にデウカリオンと、その妻ピュラから始まると書きました。
実はそのデウカリオンは、プロメテウスによって作られ、ピュラはプロメテウスの弟エピメテウスとパンドラの娘にあたります。
なので、プロメテウスは本当に、人間にとってとても関係深い神だと言えそうです。
次回は流れ的に「パンドラの箱」について書こうと思っていたのですが、今月はひたすらギリシア神話の記事ばかり書いているし、そろそろ脱線もしたいので「バナナ型神話」について書こうと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。