ギリシア神話-26 英雄ヘラクレスとエウリュステウス

どうも、元山狐です。

今回も英雄ヘラクレスのことを書いていきます。
前回戦争の功績で、王からメガラを妻として与えられ、愛情に包まれて幸せな生活を送っていたヘラクレス。
しかし、ヘラの企みによって(発狂させられる)自らの手によって、愛する子供を全員殺してしまいます。

そして、我に返り絶望するヘラクレス。
そんな彼が向かった先は、神託の神アポロンのいるデルポイ(都市国家)の神殿でした。




アポロンの神託

ヘラクレスはアポロンのいるデルポイを訪ねました。

彼は自分の過ち(狂わされていたとは言え、子供を殺してしまったこと)が、何をすれば償えるのか、神託を求めたのです。

そんなヘラクレスにアポロンは言いました。

アポロン
「ティリュンスに行って、エウリュステウス王に仕えなさい。
そこで彼の命じる10の難行を果たせば、罪を償うことができて、最後には神々への仲間入りを許されるだろう。」

臆病なエウリュステウス王

この神託はヘラクレスにとって、屈辱的なものでした。
前々回の記事「ギリシア神話-24 英雄ヘラクレスの誕生とヘラの迫害」という記事で、書きましたが、エウリュステウスはヘラ(の娘エイレイテュイア)の働きでヘラクレスよりも早く生まれたことでミュケナイとティリュンスの王となりました。

しかし、無理やり早く生まれてしまうこともあってか、腑抜けで臆病者だったのです。

ヘラクレス
「そんな分不相応な王に仕えないといけないのか!?」

一方で、エウリュステウス王にとっても、この神託は辛いものでした。

彼にとって、ヘラクレスのような家来を持つことは身に余ることで、恐ろしくもあったのです。

エウリュステウス
「いずれ私を殺そうとするかも知れない・・・」

そこで、エウリュステウスはヘラクレスを亡き者にしようと思い、
「10の難行は人間には到底不可能なことを命じてやろう。」
ということにしました。

しかし、そこは臆病なエウリュステウス王、
「自分の口から命じた時点で、ヘラクレスは怒って私を殺そうとするかも知れない・・・」

そこで、ヘラクレスに町の城壁に入らないように命じ、命令は伝令者を通じて出すことにしました。
それでも不安なエウリュステウス王。
丈夫で大き甕(かめ)を作って、いつでもその中に隠れることができるように地中に埋めたそうです。

シェルターみたいなもんですかね。
次回以降で紹介する「10の難行」で、帰ってきたヘーラクレースに対し、この写真のように甕の中に隠れたりしています。

でも、ヘラクレスがその気になれば、甕を壊して中にいるエウリュステウス王を捕まえることができそうな気がします。笑

最後に

と、いうことで今回はエウリュステウス王を中心に書いてみました。

ちょっと話はかなり先に飛びますが、ヘラクレスの死後もエウリュステウスはヘタレ具合は全開でして、最後はゼウスの家族(ヘラクレスの息子という説があったり、甥という説があります。)によって殺されています。
臆病で優しいとかなら救いようがあるんですが、そういった描写もなく、自分の子どもたちが討ち取られている中逃げ出す描写があったりして、全くいいところが見つけられませんでした。

まぁ、ここまで無能っぷりが強調されているのも、それに仕えることになるヘラクレスの苦悩を表現したかったのかも知れませんね。

次回からは「10の難行」について書きたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。