ギリシア神話-25 英雄ヘラクレスの黒歴史

どうも、元山狐です。

今回もヘラクレスについて書いていきます。


成長し屈強な青年になったヘラクレス。

様々な武術を会得し、様々な手柄をたてるこになるのですが、そんなヘラクレスにも黒歴史がありまして、今回はそこをメインに紹介したいと思います。




知らぬ間に50人もの父親に

逞しくなったヘラクレスが、まず初めにたてた功績はキタイロン山のライオン退治でした。

キタイロンでライオンを倒すまで、ヘラクレスは50日に渡りこの山で狩を続けました。
その間は、そのライオンの被害に悩んでいたテスピアイの王テスピオスの館に招かれて晩を過ごしていました。

テスピオス王は
「ヘラクレスみたいにたくましい子孫がたくさん欲しいなぁ。」
と思い、考えた結果。

「そや、毎晩娘達を変わり代わりヘラクレスの寝床に送ったれ!!」

ということで、50日間の間で50人もの娘をヘラクレスに抱かせました。
というか、50人も娘いるって凄いな!!

そして50人の娘は、みんなヘラクレスの子を身籠りました。
更に、昼は狩で疲れているヘラクレスは毎晩自分が抱いている女性が別人に入れ替わっているとは気付かず、ずっと同じ女性を抱き続けていると思っていたようです。

マジ!?って思いますが、50人というのも「多い」ということを表現するためだと思うので、正確な数かどうかは疑問ですが。

ともあれ、ヘラクレスは自身が気付かない間に、かなりの数の子供の父親にされてしまいました。
(手元の参考書籍等を見る限り、ヘラクレスは子たちの存在自身を認識してなさそうです。)

まぁ王の孫なんだから、生活は安泰だと思いますが。

テバイでの功績

次にヘラクレスはテバイで功績をあげました。

その頃のテバイはオルコメノスという都市との戦争に負けて、家畜を貢物として献上していました。

そこでヘラクレスはオルコメノスに戦争を仕掛け、敵の王を討ち取り、その倍の家畜をテバイに貢がせるようにしたとのことです。

しかし、この戦いで父(育ての父という方がしっくりくるかな。)アンピトリュオンは戦死しました。

ちょっと脱線してしまいますが、前回
「アンピトリュオンは息子であり、息子とも言い難いヘラクレスとどんな関係性だったんでしょうか。
でも、戦車の操り方を教えているくらいなので、良好な関係だったんでしょうね。」
とか書きました。

養父として、ヘラクレスを育て、武術などを身に着けさせ、そして、ヘラクレスが興した戦争に命をかけて挑み、戦死。
と考えると、とても誠実で、神(ゼウス)を敬い、子に対してとても行動力のある人だったんでしょうね。

ペルセウスの孫というだけあって、英雄と言っても差し支えのない人物だったんじゃないでしょうか。
と、なんとなくヘラクレスの記事を書きつつ、アンピトリュオンに好印象を持った僕でした。笑

で、話を元に戻しますと、テバイの王クレオンは、功績への感謝として自身の娘メガラをヘラクレスの妻として与えました。

ヘラクレスはメガラをとても愛し、二人の間には沢山の子供ができて幸せに暮らしたとあります。(3人とかもっと多いとか、様々な説があります。)

めでたし、めでたし。

しかし、幸せは長く続かなかった

そうです、彼女を忘れてはいけません。
神々の女王であり、嫉妬深く、ゼウスの愛人や、その子らを迫害してきたヘラです。

今回はかなり陰湿なことをします。

それは
「ヘラクレスを発狂させて、メガラとの子を敵と思い込ませ、全員を殺させる。」
というものでした。

行い的にはもはや、神よりは悪魔に近い気がします。
今までの中で一番酷いですね。

正気に戻ったヘラクレスは、自分のした恐ろしいことに気付き、絶望します。

ここでヘラに憎悪を抱き、ヘラに復讐を誓う・・・という流れが自然かな。と思うのですが、ヘラクレスはアポロン神のもとに向かい、
「自分はどうすれば、この(子供らを殺した)罪を償うことができるか教えて欲しい。」
と尋ねました。

ここでの神託がヘラクレスの運命を過酷な冒険へと導くことになります。

※実はこの出来事は時系列が諸説ありまして、この後の「ヘラクレスの10の難行」の前(このブログではこちらの説を前提に書いています。)の出来事だとか、後の出来事という諸説があるみたいです。
また妻のメガラも、この出来事の後別れたとか、子供と一緒に殺されてしまった。といった説があるみたいです。

最後に

この時点でも、テスピオス王の娘たちとの間にできた自分の子供のことは知らないんでしょうか。

アポロンは知ってそうな気がしますが、自分が望んだ子は死んで、知らない間に作られていた(?)子が生きてるって方がさらにこたえそうですし、ヘラクレスを気遣って教えなかったのかも。

自分の子供を殺してしまうという黒歴史は完全にトラウマものだと思うのですが、ここからヘラクレスは英雄らしく様々な功績をあげることになります。

前回の記事を書いている時に、なんとなく英雄というよりは屈指で粗野・・・ってイメージでした。

そういう意味では、日本神話のスサノオノミコトと似ていて、物事を通して成熟していく。
って印象を持ちました。

そういえば、以前書いたメソポタミアの英雄ギルガメシュもそんなカンジだったかな。
英雄神話としてはベタな形式かもしれませんね。

次回は引き続き、アポロン神からの神託、そしてヘラクレスの冒険を書いていきたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。