どうも、元山狐です。
今回でいよいよ最後の難業となります。
ヘラクレスを亡き者にしたいエウリュステウスとしても、もう後がない(と思ったかどうかは知りませんが。)ということで、最後を締めるのに相応しく困難な難業を命じてきました。
その内容は
「地獄の番犬ケルベロスを連れてこい」
というものでした。
今までは、あくまでも地上、つまり人間の世界でのことでしたが、今回は「冥界」まで行く必要があるのです。
ケルベロスとは
ケルベロスは名前としてはとても有名なモンスターですね。
様々なRPGなどの作品で見かける、超売れっ子モンスターですよね。
冥界の王ハデスに忠実で、地獄の番犬をしています。
今までの難業でヘラクレスと戦った怪物の多くはテュポンとエキドナの子供でしたが、このケルベロスもそうです。
前々回の「ゲリュオンの牛」に登場し、ヘラクレスに殺されてしまったオルトロスの兄貴分となります。
3つの頭を持つ。というモチーフが一般的ですが、50の頭を持つという描かれ方もされているみたいです。
(この記事では3つの頭という前提で進めます。)
Wikipediaに少し「フフッ」ってなる記述がありました。
Wikipediaより
普段は3つの頭が1つずつ交代で眠り、残る2つの頭で常に見張りをしているが、美しい音楽を聴くと全ての頭が眠ってしまう。
ちょっと可愛いなぁ。笑
ギリシア神話のエピソードの中には、古事記のイザナミとイザナギが黄泉の国で起こすエピソードに似た(というか、ギリシア神話の方が古いんだけど)話があって、その話の中で実際に地獄の番犬であるケルベロスは、美しい音楽を聞いて寝てしまうシーンがあります。
今回詳細は書きませんが、また何らか機会見つけて紹介できればと思います。
ヘラクレスも今回は死を覚悟したらしい
そんなケロベロスを捕らえるとなると、当然地獄、つまり冥界まで行く必要があります。
まず、人間が生きたまま冥界に行くという時点で、かなりの難題です。
流石のヘラクレスも
「今回はダメかもしれない」
と思ったらしく、途方にくれたそうです。
しかし、そこにアテナが現れて、ヘラクレスに助言をしてくれました。
それはこういったものでした。
- デメテルの神殿で行われる密儀に参加
- タイナロンという岬に行く
密儀は冥界に行くための準備にあたり、この岬から冥界に続く道があるらしいです。
道案内はヘルメスがしてくれました。
こうして、いろいろな苦労があったものの、ヘラクレスは冥界の王ハデスのもとまで辿り着くことができました。
ヘラクレスは今回の事情を話して、ケルベロスをエウリュステウスの元に連れて行く許しを得ようとしました。
それに対してハデスは
「いいけど、武器を使ったり傷付けたりしちゃダメだよ(どうせ無理だろうけどね)」
と答えました。
ってゆーかハデスは、今までのヘラクレスの活躍のことは知らなかったんでしょうか。
素手でケルベロスを組み伏せるくらいのことはできそうに思います。
というか、実際にそうなります。
ケルベロスの頭部には無数の蛇がいるのですが、それらにいくら噛まれようが、ヘラクレスは一向に怯むことがなかったので、ケルベロスも諦めて大人しくなり、ヘラクレスに従順に従うようになりました。
そしてエウリュステウスの元へ
ハデスも約束をした手前、ヘラクレスがケルベロスを連れて行くのを止めるわけにいきません。
こうして、無事にエウリュステウスの元にケルベロスを連れて行くことに成功したヘラクレス。
しかし、エウリュステウス当人はケルベロスをひと目見て、恐怖に凍りつき
「もうたくさんだ!早くその化物を冥界に連れて帰ってくれ!」
と泣き叫びました。
実はもともと、この後はケルベロスをハデスに返すつもりだったヘラクレス。
ハデスにケルベロスを返し、無事難業を達成しました。
その後のエウリュステウスについて
これで全ての難業を達成したヘラクレスは、エウリュステウスの元を離れました。
その後もエウリュステウスはヘラクレスの子孫に仇を成そうとしますが、結果的には戦に負け、最終的にはヘラクレスの甥で忠実な従者だったイオラオスに殺されます。
冥界で新たな妻を紹介されたヘラクレス
難業に関しては、以上なんですが、冥界を行く途中、ヘラクレスは冥界の住人、つまり亡霊たちと会いました。
その中の一人に、カリュドンの王の息子で名高い英雄だったメレアグロスという人物の魂と会います。
そこで、メレアグロスから
「自分のかわいい妹を妻にもらってくれないか」
とお願いをされました。
彼は妹が心配で仕方ないのです。
ヘラクレスも
「こんな名高い英雄が、ここまで大切に思っている妹なら、自分の方からお願いしたいくらいだ。」
と考えたようで、この願いを快諾しました。
※ちなみにヘラクレスはこの時点で、前妻のメガラとは離婚しています。
エウリュステウスの難業を終えたヘラクレスは、早速カリュドンに向かい、彼の妹のディアネイラに冥界でのことを話して、求婚しました。
普通見知らぬ男がいきなりやってきて、
「君の死んだお兄さんから、君を妻にもらうようにお願いをされてきました。」
とか言われたら、すごくコワイと思うんです。笑
そこはギリシア中に名高い英雄ヘラクレスということあり、また兄を尊敬していた、ということもあったのですが、この時ディアネイラはアケオロスの河神にしつこく言い寄られていて窮地に追いやられていました。
ヘラクレスはこの神と戦い、ディアネイラを妻にすることを認めさせました。
最後に
こうして、難業を終えて自由の身となり、新たな妻も迎えて幸せいっぱいのヘラクレス。
12回に渡って紹介した難業以外にも、ヘラクレスの活躍エピソードはかなりたくさんあるのですが、紹介しだすとキリがないので、次回はそれらのエピソードをまとめて軽く紹介して次のステップに進めていこうと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。