ギリシア神話-53 トロイア戦争(2)

どうも、元山狐です。

今回もトロイア戦争について書いていきます。

前回エリスの黄金のリンゴが元で争うことになったヘラ、アテナ、アプロディテ。ゼウスの提案で、争いの決着(審判)は人間に委ねられることになりました。

今回はその争いが人間に飛び火して、ギリシアとトロイアを巻き込む大きな戦争のきっかけになっていく経緯を紹介したいと思います。




羊飼いのパリス


ゼウスから審判者として選ばれたのは、イダ山に住むパリスという羊飼いの青年でした。

彼はただの羊飼いではありません。
実はトロイアの王プリアモスと王女ヘカベの子供でした。

しかし、神託で
「この子は厄災の元となり、国を滅ぼすであろう。」
と言われてしまい、山中に捨てられたところを羊飼いの男に拾われて育ちました。

時は経ち、立派な青年に成長したパリスの前にヘラ、アテナ、アプロディテを連れたヘルメスが現れました。

そして、この3人の中から最も美しい女神を選び黄金のリンゴを渡すように命じました。

3人とも甲乙付け難く、この中から1番を決めるなんて出来ない。
そこで、3人の女神はそれぞれ報酬をチラつかせてパリスに自分を選ぶように話しました。

ヘラ

「私を選んでくれたら、最高の権力を与えるわ。」

アテナ

「私を選んでくれたら、ギリシアで最強の男にしてあげます。」

アプロディテ

「私を選べば、この世で一番美しい女性が貴方のモノになるわよ。」

こうなると、すでに美しさの争いではなく、モノ釣り合戦ですが、パリスの判断する材料にはなったらしく、パリスはアプロディテを選びました。

以後パリスはアプロディテの熱心な加護を受けることになりますが、逆にヘラとアテナからは恨みを買い、迫害されることになります。
上の絵からも、ヘラとアテナの憎しみが伝わってきますね。(笑)

王子としてスパルタへ

羊飼いとして育ったパリスですが、やがてその出自が判明すると、トロイア王は
「時間も経ったし、もう大丈夫だろう。」
と判断をして、パリスを王子として迎え入れました。
(どんな根拠なんだよ(笑))

王子として彼の初めての仕事は、スパルタとの外交でした。

スパルタの王メネラオスはパリスを歓迎し、宴を催しました。

この宴がパリスの運命を大きく揺さぶります。

スパルタの王妃と恋に落ちる

パリスはメネラオス王の隣に佇む王妃ヘレネを一目見て
「この人こそ、アプロディテが言っていたこの世で一番美しい人だ!
と確信しました。

また、ヘレネもパリスを見て恋に落ちました。
(アプロディテか息子エロスの力もあったのかな。)

2人はメネラオスがクレタの王カトレウスの葬儀に行き、国を留守にしている間に関係を持って、トロイアに駆け落ちしてしまいます。

戦争が勃発

国に戻り、パリスとヘレネのことを知ったメネラオスは、当然激怒しました。
そこで、彼は兄でありミュケナイの王アガメムノンに妻と名誉の奪還を相談しました。

ヘレネは絶世の美しさを持っていたらしく、かつては様々な国の王達がヘレネに求婚していました。

その中でヘレネが選んだのは、メネラオスだったのですが、その前にヘレネの育ての親は
「ヘレネが誰を選んだとしても、その夫が困難な状況に陥った時は、皆がその夫を助ける。」
ということを求婚者に約束をさせていました。

アガメムノンはその約束を理由に、各国にヘレネの奪還する為、トロイアに攻め入るように呼びかけました。

こうして、ギリシア各国の王と兵が集まり、トロイアに攻め込むトロイア戦争が勃発することになりました。

最後に

トロイア戦争は人間だけではなく、神々も巻き込んだ大きな戦争です。
次回は、ギリシア陣営、トロイア陣営それぞれの名将達と、加担した神々を紹介したいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。