ギリシア神話-52 トロイア戦争(1)

どうも、元山狐です。

今回からトロイア戦争について書いていきます。

トロイア戦争はかなりボリュームがあるので、おそらく10記事以上かかるんじゃないかな。と思っています。

で、初回は、戦争が起こることになったり遠因について書いていきます。戦争は人間が起こすんですが、トロイア戦争は結構神々が裏で暗躍しているのが面白いです。




増え過ぎた人間たち

以前にギリシア神話における人間たちにはいくつかの時代があると書きました。

ギリシヤ神話-16神々と人間について

ギリシア神話に登場する人間の話は主に英雄時代になります。

英雄時代に入ってから、人間の数がかなり増えてきたので大地の神ガイアはゼウスに
「人間たちの数が増え過ぎて、重い。どうにかして欲しい。」
と訴えました。

これを聞き入れたゼウスは、秩序の神テミスと協議を重ねた結果、
「大きな戦争を起こして、人間の数を減らそう。」
という考えに至りました。

【テミスについて】

テミスはウラノスとガイアの子に当たる女神です。
種族的にはティタン神族にあたり、以前紹介したティタノマキアで、ティタン神族はゼウスらオリュンポス神族に敗れ、地位を失いました。

そんな中、唯一地位を維持した神と言われていて、ゼウスにも一目おかれています。

一説によるとゼウスの妻だった時期もあったとか。

ギリシヤ神話-2 ガイアとウラノス

ギリシヤ神話-6 ティタノマキア

ペレウスとテティスの結婚が火種に

話は変わりますが、ゼウスとポセイドンは海神ネレウスの娘テティスの美貌に恋に落ちて、求愛していました。

テティスと言えば、以前鍛治の神ヘパイストスの紹介記事で書いたのですが、産まれた時に奇形児だったため、母に捨てられた彼を拾い育てた女神です。
外見だけじゃなくて、慈悲深く内面の美しい女神なんでしょうね。

ギリシヤ神話-15アプロディテ、ヘパイストス、アレスについて

しかし、先程も登場したテミスは託宣の神でもあり
「テティスとの間に生まれる子供は父親よりも優秀になって、やがて父を追い出すだろう。」
という定めを教えられて、2人はテティスを諦めました。

そこで、ゼウスはテティスを人間の英雄でテッサリア地方プティアの王ペレウスと結婚させることにしました。

しかし、テティスはこの結婚を嫌がり、様々な姿に変身して逃れようとしました。
が、ペレウスは彼女をしっかりと捕まえて離さなかったので、やがて観念したそうです。

自分が惚れた相手に、嫌がる結婚をさせるというあたりは、復讐の念も含んでいたような気がします。笑

そして、2人の結婚はテッサリアのペリオン山頂で盛大に行われることになりました。

オリュンポスの神々もみな参加したのですが、アレスの妹で争いの女神エリスだけは招待されていませんでした。
「同じ争いの神である兄は呼ばれたのに、なんで私だけ・・・!」
エリスは怒り、腹いせに
「最も美しい女神に」と書いた黄金のリンゴを宴の中に投げ入れました。

【エリスについて】

エリスは軍神アレスの妹と言われていたり、夜の女神ニュクスの娘と言われています。
アレスに付き従っていて、不和を好んで争いや災いを生む。とあり、アレスは単純(というよりは脳筋(笑))なところがあるんですが、陰険で執念深く人間だけでなく、神々の間でも嫌われていました。

今回エリスがとったリンゴを投げ入れるといった行動は、眠れる森の美女に影響を与えたと言われています。

ヘラ、アテナ、アプロディテの争いが始まる

このリンゴを見た女神たち。

特に自身の美しさに自信を持つ、ヘラ、アテナ、アプロディテはそれぞれが、
「このリンゴに相応しいのは私だ!」
と、譲りません。

3人の間には確執が生まれ、式の雰囲気は最悪だったと思います。

みんなが険悪なムードに困惑する中、ゼウスはニヤリとして、
「誰が一番美しいかは、人間に決めさせよう」
と提案しました。

そう、エリスのとった行動も、この争いもゼウスの狙いどおりだったのです・・・。

続く。

最後に

実はこの記事を書く前に、Netflixの『トロイ伝説: ある都市の陥落』という番組を見ました。

ある程度、トロイア戦争のことを書籍で読んでから見たんですが、かなり忠実に描写されていたような気がします。

細部で本とは違う部分があって、というか本もそれぞれで違う部分があるから当たり前なんだけど、でも
「ここが違うんだな~」とか
「え!?この人物このキャストなの!?」とか
ギャップを探しながら見るってのも含めて、楽しかったです。

で、この番組では次回書くつもりの「羊飼いパリスの審判」からスタートするので、今回書いた部分は省かれています。
なので、この記事を見てから、番組を見ると少し得した気分に・・・ならねぇか。笑

では、最後までお読みいただきありがとうございました。