日本神話-23 垂仁天皇と沙本毘売


どうも、元山狐(もとやまきつね)です。

今回は代11代天皇垂仁(すいにん)天皇について書いてみたいと思います。

しかし今回の話は、天皇というよりはその后の沙本毘売(サホビメ)が夫垂仁天皇と、実の兄沙本毘古(サホビコ)への愛との間で苦しむ悲哀劇が中心となります。

ここの話は、今回の記事を書こうと思うまで、僕は知らなかったんですが、結構有名な話みたいです。



沙本毘古(サホビコ)の企み

垂仁天皇の名は伊久米伊理毘古伊佐知命(イクメイリビコイサチ)といいます。
・・・長いので、以後は垂仁天皇としますが。笑

その垂仁天皇の初の后となるのが沙本毘売(サホビメ)です。

サホビメには兄がいまして、彼女が嫁ぐ時に兄の沙本毘古(サホビコ)は
「夫と、この兄どちらが愛おしい?」
とサホビメに尋ねたそうです。

今で言うところのシスコンなんでしょうけど、これに対してサホビメは
「お兄様、アナタです!」
と答えたようです。

つまりシスコンとブラコンで、相思相愛だったんですね。

なんとなく、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」を思い出しました。笑
※といってもアニメしか見たことがなくて、あまり深くはわかんないんだけど。

これだけなら、ただの兄弟を超えた恋愛話で終わるのですが、このサホビコには野望があったようで
「本当にこの兄が愛おしいなら、俺たち兄弟で天下を支配しよう!」
と言い出し、サホビメに短刀を手渡し、天皇の寝首を掻くように命じました。

しかし、サホビメは非情にはなれなかった

兄の命どおり、サホビメは短刀を手に垂仁天皇が眠っているところを刺そうとしました。

・・・がもともと優しい性格の彼女には、それができませんでした。
3度試みたのですが、やはり刺すことができない彼女は、悲しくなって泣いてしまいました。

その涙が垂仁天皇の頬に落ち、天皇は目を覚ましました。

サホビメは、もはや隠しきれないと思い、兄とのことを天皇に打ち明けました。

垂仁天皇 VS サホビコ

当然これに怒った垂仁天皇は、サホビコを討つべくして軍を送りました。

対し、サホビコは稲わらで応急の城を作って応戦しました。

夫と兄との間で苦悩するサホビメでしたが、兄への愛を断ち切ることができず、王宮を抜け出して兄のもとにいってしまいました。
しかし、この時すでにサホビメは垂仁天皇の子を宿していました。

一方垂仁天皇も、心からサホビメを愛していたので、稲城を攻めあぐねていました。

垂仁天皇とサホビメの子

戦をしている間に、サホビメは出産をしました。

この時には、彼女はすでに覚悟を決めていたようで、
「この子だけでも助けたい」
と思っていたようです。

そこでサホビメは天皇に
「もしも、この子を御子とお考えなら、お育てください。」
と伝えて、子だけを天皇に渡そうとしました。

一方、垂仁天皇は今でもサホビメを愛していたので、御子の受け取りの際にサホビメを捕まえて后として戻るようにしようと考えていました。

しかし、サホビメも天皇の心がわかっていたので、捕まらないように髪は剃ってカツラをかぶり、服や装飾品も掴まれたらすぐに破れたり、千切れるように加工していました。

結果、子の受け渡しの際に、兵士がサホビメを捕まえようとしましたが、掴んだ部分が破れてサホビメ自身を捕らえることはできませんでした。

こうして、サホビメは稲城にもどり、最終的には燃える城内で兄とともに命を終えました。

今回で誰が一番悪かったのは、言うまでもなくサホビコだと思うんですが、サホビメは最後どんな気持ちだったんでしょうか。
最後まで兄を愛していたから、兄とともに死を選んだんでしょうか。
それとも、天皇に面目ないからでしょうか。

なんかどっちにしても、悲しい話です。

で、この子は本牟智和気御子(ホムチワケノミコ)という名を付けられ育てられます。
その後、垂仁天皇は別に二人の后を迎えて、子をつくります。
12代目の天皇はホムチワケノミコではなくて、その後に迎えた后との子で大帯日子淤斯呂和気御子(オオタラシヒコオシロワケノミコト)が就くことになります。

12代天皇 大帯日子淤斯呂和気御子(オオタラシヒコオシロワケノミコト)=景行天皇で、次回から景行天皇とその子、倭建命(ヤマトタケルノミコト)のことを書こうと思っています。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。