野口神社に行ってきました。(奈良県)



最近役小角に縁のあるスポットに行った記事の投稿が多いのですが、今回も役小角関連のスポット(神社)の記事になります。
伝承の内容は記事本文で紹介するとして、なんだか「安珍清姫伝説」に通じるものがあるような内容になっています。
また、今回訪れた神社ではちょっとユニークな「汁かけ祭」という行事も行われているようです。

茨田の長者 A子の伝承

まずは伝承内容を紹介したいと思います。

河内に「茨田(まんだ)の長者」と呼ばれる金持ち一家がいました。
そんな茨田一家は、茅原郷(役小角が生まれ済んでいた)の近くの「蛇穴(さらぎ)の村」に移り住んできました。
茨田には一人の娘がいました、手元にある本にも、野口神社の看板にも「娘」としか書かれておらず、名前がわからないので、ここから彼女のことは「A子」とします。

A子はとても美しく、村の若者達にはいわゆる高嶺の花で、誰一人A子に言い寄る勇気がありませんでした。
そんなA子は、金剛山に上る小角に恋焦がれるようになりました。
しかし、小角は修行一筋で全く相手にしませんでした。

・・・ここまでの流れだと、美しいA子と、修行一筋の小角のラブストーリーなのかな?
と思いそうなのですが、ここから物語は少し斜め上の展開になっていきます。

ある日、A子は小角への想い?欲求?のあまり小角に近づくと、いきなり抱きつこうとしました。

村では高嶺の花だったA子ですが、好意を寄せる相手には肉食・・・というレベルではなく、これはもはや痴漢です。(笑)

「痴漢絶対ダメ!」
小角は、つい持っていた棒でA子を殴りました。

ひるんだA子は森に逃げ込みました、それを追いかける小角。
小角はどんなつもりで追いかけたのでしょうか。
A子を諭す為など、つい殴ってしまったことへのフォロー?もしくはA子を更に罰する為?

するとA子は執念なのか?なぜか大蛇に化けて小角に迫ってきました。
「私のモノにならないのならいっそ・・・」という心境だったのでしょうか。
しかし、小角は鴨山の神の加勢もあって、A子を追い払うことができました。

そんなことがあって、しばらくたった5月5日の田植えの日です。

大蛇A子は、小角への思いを忘れることができず、ふたたび小角に迫ってきました。

逃げ惑う小角と大蛇A子を見た村人は、ちょうど昼めし時だったので、手にしていた味噌汁をA子にぶっかけました!
この味噌汁をぶっかけるという発想も中々にぶっ飛んでいます。

それはさておき、正直僕はここがちょっと引っかかっていまして、何かで味噌汁というのが歴史上現れだすのは平安時代だったと聞いたことがあって、Wikipediaにも同様のことが書かれています。
役小角は飛鳥時代に活躍していた人ですから、この頃味噌汁って定着していたかちょっと怪しいなぁ。って思うんです。
とはいえ、当時定着していた「汁もの」が後の解釈によって「味噌汁」と置き換えられたものだとしたら、まぁそれもアリか。とか。

脱線しました。
蛇は変温動物で外の温度に影響を受ける動物ですし、村人のかけた汁も熱かったんでしょう。
A子はたまらず、井戸の中に逃げ込げこみました。
その井戸の上に巨石で蓋をして小角は女難を避けることができましたとさ。

ちゃんちゃん♪
というお話です?

この話は、最近購入したこの本「役行者ものがたり」を読んで知りました。
※個人的にこの話は、役小角の数あるエピソードの中ではあまり有名ではない部類のものだと思っています。

修行中の人に恋焦がれた女性の執念の話という意味では、「安珍清姫伝説」に内容が似ているように思いますが、
安珍清姫伝説では、大蛇に化けた清姫に安珍は焼き殺されてしまうのに対し、流石に役小角の程の強力な力を持つ人だと大蛇の方が返り討ちになりますね。

安珍清姫伝説 縁の地に行ってみました。(和歌山県)

前述の味噌汁のことといい、この頃の小角はまだ鬼を使役しているとは思えないので、どうやって巨石を運び井戸の上に置いたのだろう?とか気になるところはいくつかあるんですが、
この本の著者、銭谷武平さんは、役行者関連の本をいくつか出版されているようです。

今回この本はとても読みやすかったし、次は「役行者伝記集成」を買おうかな?と思っています。

汁かけ祭と蛇綱引き

冒頭に書いていた、この神社で行われている行事を紹介します。

前述のA子の供養のために、この野口神社では毎年5月5日に味噌汁をかける「汁かけ祭」という行事を行っているようです。
ちょっと祭のタイトルの見方を変えると、とてもセクシーな気が・・・ゲフンゲフンw

また、今は子供たちが「蛇綱引き」といって藁で作った大蛇を引いて、村中を練り歩くそうです。
この藁の蛇は同神社内の蛇塚に納められていて、今回神社を行った時にも置いてありました。

子供が引くということもあって、とても可愛らしい蛇ですね。
この蛇塚が前述の物語の井戸だったとすると、この石がその巨石で、この下にA子が埋まっているということでしょうか?
これは中々ロマンを感じますね!

行ってきた感想

野口神社ですが、正直大きい神社とは言いづらく、また付近を通っている国道24号線上にも、案内の看板はないので、事前に場所を調べていかないと迷いそうです。

目印?という程ではありませんが、国道24号線の「蛇穴」交差点にナフコやケーズデンキがあります。
その北に「御所橋南詰」という交差点があり、その交差点を東に進むと神社に到着します。
※付近に駐車場らしきものは見つけられなかったので、車でいくのは難しそうです。

写真は「蛇穴」交差点と「御所橋南詰」交差点の写真です。
バイクのドラレコの録画映像から切り取ったものなので、バイクのスクリーンがかぶっていて見づらいのですが、参考までに貼っておきます。

あと、野口神社でとった写真を2枚程貼っておきますね。

今前述にも書いた、「役行者ものがたり」を読んでいるので、しばらくは役小角に関連する場所にいった記事が割合を占めるかも知れません。
空海や安倍晴明も興味あるんですけどね。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。