「鬼の大江戸ふしぎ帖」を読んでみた。

鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が見える

宝島社文庫
和田はつ子

新幹線の移動時間の間に読もうと思って買いました。

和田はつ子さんの本は以前「魔神」ってのを読んだくらいで、あまり読んだことがなかったんですが、探偵ものとか、時代小説とか結構いろんなジャンルで執筆されてるみたいです。

この鬼の大江戸ふしぎ帖は僕にはすごく面白くて、特に鬼に対する設定が面白かったので今回記事にしてみました。

四話構成の本です

主人公である源時が妹のお福を助けるため、四天王として目覚める章から始まって、各登場人物やその周辺の人々の周りで起こる事件からなる四話構成の小説です。

一話あたり70~80ページ程度のボリュームです。

鬼の設定が面白い

一般的な認識では「鬼」という妖怪がいて、人々を襲う。
ってイメージだと思うんですが、この物語では鬼にも様々な種類がいて、

  • 狼鬼
  • 石犬鬼
  • 狐鬼
  • 猫鬼
  • 鷹鬼
  • 雀鬼
  • 時鳥鬼
  • 蚊蜻蛉鬼
  • など、いろいろな動物に関連のある鬼が登場します。

    彼ら鬼の祖にあたる酒呑童子も狼鬼に分類されるので、基本的には狼鬼がすごく強い。
    っていう設定なのですが、
    戦闘力的には弱いとされている時鳥鬼も「あるものを食べることによって怪鳥鬼に変貌して、凄まじい戦闘力を発揮する」など独特の世界観があって設定が面白いです。




    魅力的な登場人物

    登場人物は結構多くて、僕は時代小説は普段あまり読まないので、慣れていないのか、誰が誰?と混乱しそうになることがありました。(似たような名前の人が出てくると混乱しちゃう)

    登場人物をメモにしておくと、読み進めやすいと思うので、主な登場人物をまとめてみます。

    渡辺源時

    本作の主人公。
    南町奉行所定町廻りの同心(江戸幕府の下級役人で警察業務を執行する)
    妹のお福が誘拐された事件をきっかけに「四天王」(この小説では頼光四天王の子孫らが、四天王として鬼を見分けることができる。という設定です。)としての力に目覚める。

    鬼に対しても公平な態度で、人鬼関係なく罪人は縄にかけるが、そうでないものには差別をしない誠実な人物。

    稀世

    源時の恋女房で、医学の心得がある。
    源時への深い愛情を持っていて、源時もまた彼女を深く愛している。
    人を外見で判断せず、また皆に優しい。

    だが、彼女にも秘密が・・・

    楽田狼太

    かざり職人として静かに暮らすことを望んでいる狼鬼。
    生計をたてる為に、副業として薬草を作っている。
    源時の妹お福の誘拐事件の際に、源時と出会う。

    一見無愛想だが、情に厚い。

    久右衛門

    鬼狩を生業とする四天王の一人。
    源時に四天王としての生き方を指南する。
    小柄ながらがっしりした体格で、敏捷。
    過酷な戦いを続けてきたからか、年齢の割にとても老けている。

    花吉

    源時の下で働く下っ引き(定町廻りの同心に使われる岡っ引きの子分)
    源時の岡っ引きの貞次が病に伏せているため、親分にかわり源時の下で働く。
    正体は蚊蜻蛉鬼。

    永元堂治郎右衛門

    薬問屋永元堂の主人。
    正体は狐鬼。
    意地汚くて、助平でお調子者で、嘘を付くことも多い。

    明月亭希朝

    素晴らしい声を持つ町で人気の噺家。
    実は・・・。

    吉兵衛

    明月亭の席亭(興行小屋の主人)。
    希朝の才能を見抜き、噺家に抜擢した。
    正体は鼠鬼。
    とても肝の座った男。

    お福

    源時の妹。
    誘拐事件に遭う。
    天真爛漫な性格で美形。

    八兵衛

    源時の祖父。
    同心株を買って源時を奉行所勤めにさせる。
    幼い源時を拾い、孫として育てた。
    源時に対して深い愛情を持つ。

    二兵衛

    源時の父。
    唐物海老屋の主人。

    六枝

    源時の母。
    源時を自分の産んだ子と思っている。

    せつない話が多い

    四話構成と書きましたが、特に2話と3話は話の内容が切なくて、脇役の魅力が光ります。
    個人的には、楽田狼太の幼馴染権太郎と、その妹の美優が登場する話が好きです。

    楽田は一見寡黙でクールなんですが、人間味があって、とても魅力的なキャラクターなんですよね。

    もし実写化するなら

    読んでて、基本的には人間ドラマ的な展開がメインで、バトルものではないので、一部だけCG使えばそれなりにキチンとした実写化ができそうだなー。とか思いました。

    僕は芸能に疎いので、あまり俳優さんの名前はわからないんですが、もし実写化するなら

    楽田狼郎は鈴木亮平さん、先輩四天王の久右衛門は特殊メイクをした山田孝之さんがいいなー。とか思います。

    他はねー。特に思い当たりませんね。
    (じゃぁ、なぜこの件を書いた)

    最後に

    実は4話の最後には、源時の恋女房である稀世の隠された秘密?もチラッと見えたりして、謎が残る終わり方をします。
    そんな伏線があってか、2作目も2016年に出ておりまして、買ってみました。

    まだ読み始めですが、話的には一作目の続きとなっていて、登場人物や世界観もそのままなっぽいので、「鬼が見える」を先に読んでから「鬼が飛ぶ」を読んだ方が良さそうです。

    作品中で酒呑童子のことについて触れています。
    大阪にいる身としては、一番の家来の茨木童子のことにも少し触れて欲しかったなぁ笑

    以前京都の大江山(酒呑童子伝説の舞台となる山で、鬼にまつわる神社や博物館、鬼塚がある)に行きたいと思ってたんですが、一緒に行こうとした人とスケジュールが合わず断念したままになってるんですよね・・・。

    秋になったら一人で行ってこようかな。

    では、最後までお読みいただきありがとうございました。