ケルト神話について-8 アルスターサイクルの登場人物など

今回から「神話サイクル」の次の章となる「アルスターサイクル」の紹介に進んでいきます。

このアルスターサイクルは光の神ルーの息子である、半神の英雄クー・フーリンが物語の中心になって展開される英雄譚的な構成になっています。
時代的にはイエス・キリストが生まれる前後とされていて、後にローマ化・キリスト教化される以前のケルト神話色の濃い構成となっていて、神話サイクルに続いて僕が好きな章です。

前章にあたる「神話サイクル」ほど登場人物が多いわけではありませんが、今回は物語の流れを紹介する前に、主役となるクー・フーリンや、キーワードとなる人物などを紹介しておきます。



物語の舞台

「アルスターサイクル」というタイトルのとおり、物語の中心はアイルランドの北部アルスター地方にあるエヴァン・ヴァハという国になります。
(アイルランドの大地は「神話サイクル」に登場するフィル・ヴォルグ族によって5つの地方に分けられ、それが基礎となっています。)

ダーナ神族に変わって、ミレー族たちがアイルランドを支配してから数百年後の世界で、この時代の戦士たち(「赤枝の戦士」と呼ばれています)を中心に物語は展開します。

前回、神話サイクルの最後には、ダーナ神族がミレー族に敗れることで、アイルランドが神々から人間たちの手に渡った。といった表現をしました。

貴族・戦士・ドルイド僧・技術者・医者・奴隷といった階級もできていて、社会体制が神話サイクルに比べて格段に進んだような印象です。

赤枝の戦士団

赤枝の戦士団は、王の護衛を務め、外敵を防いだり、他の王国との戦争の為に組織化された集団で、一隊には300人程の戦士が配置されていたそうです。

戦士たちの集会所が赤枝の館であったことが名前の由来と言われています。

戦いがないときは、武術の腕を磨いたり、狩りや釣りをして生活していたようです。
今回の主人公、クー・フーリンもそんな赤枝の戦士団の一員となります。

クー・フーリン

この章の主人公になります。
アイルランド神話の中では最も有名な英雄なのではないでしょうか。

もともとはセタンタという名前ですが、王にクー・フーリン(フーリンの猛犬という意味で、クー(猛犬)は勇気や美の象徴とされていた)の名を与えられ、死ぬまでこの名前を名乗ることになります。

あらすじの中で触れていきますが、神話サイクルに出てきた光の神ルーの息子になりまして、半神半人で、忠義に厚く、勇気があって、武力は超強い。
ルックスも抜群によく、典型的なヒーローです。

僕が大好きなゲーム「女神転生」シリーズの多くの作品にも出てきまして、使い勝手がよく、僕は贔屓目に使っています。
(タルカジャって魔法を持っていて、バフ要員として優秀なんだよなぁ?)

ちなみに女神転生では似た名前、似たビジュアルで「タム・リン」というキャラクターがいます。
タム・リンはクー・フーリンとは直接関係なさそうですが、スコットランド地方に伝わる妖精の騎士で、クー・フーリンと同じく超絶イケメンと聞いています。

スコットランドってことで、ケルトの文化圏でもあり、ダーナ神族(神々)が零落した姿が小人や妖精だったりするので、なんらか関連がありそうです。

ゲイ・ボルグの槍

クー・フーリンが愛用する武器

クー・フーリンはゲイ・ボルグの槍(RPGではよく登場する武器名)を武芸の師匠でもあり、女神ともされるスカアハから授けられています。

この槍は古代の戦士が、紅海の怪物の骨から作った魔法の槍で、投げると穂先から無数の矢が飛び出して、敵軍を殲滅するというチート級の能力を持っていまして、クー・フーリンが生涯使う武器となります。

クー・フーリンの父ルーも槍の使い手で、ルーの槍も特殊な能力をもったダーナ神話の4秘宝に数えられるほどの武器でした。

禁忌(ゲッシュ)

この時代の貴族(王族)や戦士には、禁忌(ゲッシュ)が課せられました。
禁忌は魔術的な束縛をする役割を持ちます。

名誉を重んじた彼らは、複数の禁忌を持っていて、生まれた時に課せられるもの、他人から課せられるもの、自ら宣言をして課せるものがあります。

クー・フリンにも禁忌があって、以下のようなものがありました。

  1. 犬の肉は食べない
  2. 身分が下の者からの食事の招待を断らない

後に、この禁忌がクー・フーリンの運命に大きく影響してきます。

登場する神々

前章にあたる「神話サイクル」に登場した神々の一部が、この章にも登場します。

光の神ルー

この章の主人公英雄クー・フーリンの父親で、エヴァン・ヴァハのコノール王の妹デヒテラに子を授けました。
その後はあまり登場することはありませんが、後におこる大戦争で傷ついた息子クー・フーリンを助けるために登場し、代わりに戦う場面があります。

戦いの神モリガン

神話サイクルでダーナ神族の戦いを支援したモリガンですが、この章ではクー・フーリンの戦いの邪魔をする登場となります。
途中からは味方となって彼を助けたりしますが、詳細はまた次回以降で触れていきたいと思います。

その他の人々(笑)

クー・フーリンの紹介に文字数を使いすぎましたので、他の人々は一括りで紹介させて下さい。笑

エマー

クー・フーリンが求婚し、後に妻となります。

女戦士 スカアハ

クー・フーリンの武術の師として登場します。クー・フーリンにゲイ・ボルグの槍を授けるのも彼女です。

オイフェ

スカアハのライバルで、後にクー・フーリンと争うことになります。
争いの後にクー・フーリンの愛人(?)となり、息子コンラをもうけます。

メイヴ

我侭な性悪女王です。笑 次回以降に紹介する「クーリーの牛争い」というエピソードに登場します。

フェル・ディアド

スカアハのもとで、クー・フーリンと共に修行をした兄弟弟子でもあり、親友でもあります。
後に性悪女メイヴに無理強いされて、クー・フーリンと決闘をすることになります。

最後に

最後は、一気にまとめにまとめた書き方をしましたが、実際の物語でもう少し詳しく書いていけたらなぁ~。と考えています。
次回は「クー・フーリンの誕生」に関するエピソードから、なるべく時系列順にアルスターサイクルの物語をご紹介する予定です。

では、今回もお読みいただきありがとうございました。