今回はエジプト神話の世界の始まりについて書きたいと思います。
エジプト神話はいろんな地域で語られていて、あまり体系的にまとまっておらず、話によって書いてることが違いますが、まぁバリエーション感の違いはあまり気にしない方がいいかな。
世界の始まりもいくつかバリエーションがありますが、ギリシア神話に似たものを感じます。
一番メジャー?ヘリオポリス創世神話
エジプト神話における世界の始まりを取り扱った本は手元に2冊ありまして、ザッと読んだカンジでは、太陽神アトゥムを主神とした、ヘリオポリスの創世神話が一番主流と言われているようですし、僕が知っているエジプト神話の話もこれが一番近かったです。
なので、この記事でもヘリオポリスに伝わる創世神話をメインで紹介したいと思います。
ヘリオポリスは、今のカイロ付近に存在した古代エジプトの都市です。
名前がエジプトっぽくないですが、都市の名前はギリシア人に付けられたもので、「ヘリオスの町」という意味です。
ヘリオスはギリシアの太陽神(性質が似ていることからアポロンと同一視されることもある)ですね。
そんなヘリオポリス神話に伝わる創世神話は、太陽神アトゥムを主な神としています。
同じ太陽神ということで、ヘリオスの名前をつけられたのかな。
ヘリオポリス創世神話の内容
ヘリオポリスの神話はこんなカンジです。
この世の最初には「ヌン」と呼ばれる混沌とした海だけが存在していました。
その中からアトゥムが自らの意思をもって、自らを誕生させました。
水から、自ら生まれた・・・ハッ?まさかアトゥムは生まれながらにしてダジャレの使い手だった?(笑)
まぁそんな戯言はおいておいて、混沌とした何かから生まれる始まりはギリシア神話の天地創造だったり、日本神話の天地開闢に似たところがあるような気がします。
ただ、ギリシア神話も日本神話もはじめに生まれるのは複数の神だったりするし、自らの意思だったり、自身の力で誕生したような記述ではないので、もう少し万能感のあるような誕生の仕方になるのかな?
アトゥムは生まれた時は蛇の姿をしていました。
他の話でも蛇は原初の方に登場するイメージがあります。
確か中国神話(まだこのブログでは取り上げたことがないけど)の女媧と伏羲という兄弟で夫婦となる蛇の姿をした神が登場しますし、旧約聖書のエデンの園の話にも蛇が登場しました。
日本神話でもスサノオのヤマタノオロチ退治とかありましたし。
水と関係があるから、蛇の姿ってのはよくわかるんだけど、個人的にはあんまり太陽の神っぽくないなぁ。とか思ったり。
ところで、アトゥムは単独の神だったので、子を産むことができませんでした・・・他の神話でも神が単独で他の神を産むような描写は見ますので、あまり珍しくはないと思っていたんだけど、この話の場合はアトゥムは両性具有で自慰行為をすることで子を作ったといった、割と生々しい描写で紹介されていました。
そして、アトゥムからは大気の神シューという男神と、湿気のテフヌトという女神が生まれました。
この二人は最初の夫婦となります。
そして、シューとテフヌトの間には、大地の男神ゲブと、天空の女神ヌトが生まれました。
今まで紹介してきた神話では天空の神は男神で、地の神は女神・・・ということが多かったので、このパターンは珍しく思いました。
これで、海、太陽、空気(大気、湿気)、大地、天空・・・世界の完成!!
といきたいところですが、ここでもう一つエピソードを紹介することになります。
ゲブとヌトはとても仲がよくて、ずっと抱き合ったままとか、互いを求めすぎて離れようとしなかったとか書かれています。
これは他者からしたら目のやり場に困りますよね(笑)。
そこであきれ返ったのか、怒ったのか、父のシューが二人を引き離しました。
これで、天と地が別れたってことですね!
これがその時の絵(Wikipediaに載っていたもの)ですが、ヌトの体勢きっつww
二人の間にいるのはシューだと思うんですが、右側にいるのはテフヌトかな?
ヌトの上を渡っている舟を送り出しているようにも見えるんだけど、もうこれ以上はやめてあげて欲しい(笑)
とにかく、天地が離れて、人?神?が過ごすことができるスペースができたわけです。
別れるまで二人はずっと交わっていたものですから、ヌトは身ごもっておりまして、オシリス、イシス、ネフティス、セトという四神が生まれました。
で、物語は続く・・・といったカンジです。
他の地域の創世神話
エジプトでは他、ヘルモポリス、メンフィス、テーベなどで創世神話があるようです。
ヘルモポリス = これもヘリオポリスと同様ギリシア人が名付けたもので、「ヘルメスの町」という意味です。
当時(って明確にいつかわからないけど)町の規模として一番大きかったのが、ヘリオポリスで、それに次ぐ規模だったのがこのヘルモポリスです。
そんなヘルモポリスでは、ヌン(海)からカエルの姿をした4男神、蛇の姿をした4女神(オグドアド)が生まれ、そこからなんやかんやあって(超絶略w)で太陽神ラーが生まれるという内容です。
ちなみに前回書いていた、ヘケトですが、このオグドアドの神々と同一視する見方もあるみたいです。
ヘケトは女神で、オグドアドのカエルは男神なので、性別は逆になっちゃうけど、エジプト神話は話によって内容が違うので、もうそんな細かなことは気にしません!
ついでに、太陽神ラーはアトゥムとラーは同一視する見方もあるようで、次回以降紹介するつもりの話でもラーと書かれていることが多いので、このブログでもアトゥムとラーは同一視する格好で取り扱いと思います!
メンフィスの話とテーベの方は・・・興味ある人は調べてみてください。(笑)
次回はヘリオポリスの方の話にもどりまして、ヌトが生んだ4神のことを紹介していこうと思っています。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。