ギリシア神話-45 英雄テセウスとミノタウロス

どうも、元山狐です。

今回も前回に続いて、ギリシア神話の英雄テセウスのことを紹介したいと思います。

前回はテセウスが誕生して、ミノタウロスの退治を決意するまでの部分を紹介しましたが、今回はその続きになります。

僕が記事にしている英雄は共通して怪物退治のエピソードを持つんですが、そんな勇敢な英雄の中でもテセウスは少し印象が違います。




テセウスとアリアドネ

クレタのミノス王にはアリアドネという娘がいました。
で、アリアドネはクレタに到着したテセウスを見て一目惚れ。

テセウスの目的がラビュリントスのミノタウロス退治だと知ったのですが、ラビュリントスはダイダロスが作った一度入ると脱出は不可能と言われる迷宮。
未解決事件のことを「迷宮入り」とも言いますが、ここから派生してできた言葉だそうです。

ちなみに、クレタに古代遺跡として実在するクノッソス宮殿には、迷宮があり
「ラビュリントスはこれか!?」
など未だに謎に包まれているそうです。

そんなラビュリントスに入ったが最後。
例えミノタウロスを退治しても、テセウスが脱出することは難しいでしょう。

そこで、アリアドネはダイダロスにテセウスを無事に脱出させる方法がないかを相談。
結果出た妙案とは
「赤い糸玉を、迷宮の入り口に結びつけて垂らしながら探索し、帰りは手繰って戻ってくる。」
というものでした。
「アリアドネの糸」という言葉を聞いたことがあるけど、特に魔法のアイテムとかではないんですね。

で、このアリアドネさんはテセウスに
「自分をアテナイに連れ帰り、妻として迎えること」
を条件に援助を申し出ました。

実際はもうちょっとロマンチックなやり取りがあったとは思うのですが、ただの糸玉の見返りと考えると、ちょっと重すぎないかい?笑
とは、思うのですがテセウスはこの申し出を受け入れました。

ミノタウロス退治

ゼウスの時も、イアソンの時もそうなのですが、化物退治に関して苦戦している描写ってあまり見たことがありません。

今回のミノタウロスも、例に漏れずあっさりと倒したようです。

おそらくは今までの生贄は、ミノタウロスの姿を見て恐れのあまり無抵抗に生贄になっていたと思います。
で、テセウスも直前までは同様に振る舞い、ミノタウロスを油断させ引き付けたところで
「グサッ!」
といったのではないでしょうか。

ともかく、目的を達成したテセウス。
アリアドネの助言どおり、糸を手繰って迷宮から脱出し、約束通りアリアドネを連れてクレタを後にしました。

逃亡するダイダロスとイカロス

テセウスとアリアドネのことを聞いたミノス王は、ダイダロスがアリアドネに助言したことを知りました。

パシパエの件といい、今回の件といい、死刑にされてもおかしくないと思うんですが、ミノス王も彼の名工としての腕を重要視していたのか、ダイダロスは息子のイカロスと共に塔に幽閉されるに留まりました。

しかし、そこは名工ダイダロス。
蝋で羽を作って、息子と逃亡します。

人類初飛行は20世紀のライト兄弟と聞いていたんですが、もっともっと前に、こんなあっけなく成功していたんですね。笑
しかし、この翼は蝋でできているので、太陽に近づき過ぎると溶けてしまい、かといって海に近づき過ぎると湿気にやられてしまう。というものでした。

道中で息子のイカロスは、高度を上げすぎたことで、太陽に翼を溶かされてしまい墜落死します。

なんかこの話を、教育テレビとかで歌で聞いたような?
と思って調べたところ、「NHKみんなのうた」だったようです。
この記事ではただのちょい役のイカロスさんがメインに据えられています。

その後、ダイダロスはシチリアまで飛びカミコスの王コカロスに保護されました。

テセウスとディオニュソス

話はテセウスとアリアドネに戻ります。

故郷アテナイを目指す道中、テセウスはナクソス島に立ち寄りました。
島の守護者で、祝祭と酒の神ディオニュソスはテセウスを歓迎しますが、一目見てアリアドネに恋をします。

ギリシヤ神話-13アテナ・ディオニュソス・ヘルメスについて

たとえ高名な神とか言え、自分の妻をそう簡単に譲るわけはない・・・と思うのですが、

  • ディオニュソスにビビった。
  • そもそもアリアドネを愛していなかった。
  • そもそも、ディオニュソス関係無しにアリアドネを置き去りにするために島に立ち寄った。

など色々考えられますが、結果としてアリアドネをアテナイに連れ帰ることはしませんでした。

なんかここだけ見ると、一気に英雄感が無くなってしまいますが、イアソンも自分の出世の為にメディアを捨てたし、案外古代の英雄は現実主義だったのかも?

その後のアリアドネはディオニュソスと子をもうけたとか、自害したとか言われています。

アテナイの王となる

テセウスが生贄としてクレタに向かう前に、父王のアイゲウスはそれに反対しました。と書きました。

結局テセウスの意志が固く、それを辞めさせることをできなかった父は
「テセウスが生きているなら、白色の帆を掲げて帰還すること。」
と約束をしていました。
※出港時は黒色の帆を掲げていた。

しかし、道中いろいろあったからかこの約束は忘れられていて、船は黒い帆のまま帰還しました。
それを見たアイゲウス王は
「テセウスはやはり無事に帰還できなかったのだ・・・」
と勘違いをしてしまい、絶望の末海に身を投げて死んでしまいます。

素直に見れば、父は子のことを愛していた。
という美談よりの悲劇と、とれなくもないんですが。

前述のアリアドネを置き去りにするテセウスに闇を感じたとするなら。
帰還後、王位を得るのを急いだテセウスは父王を殺害し、その身を海に投げ捨て、アリバイを作り上げた。
ということもあり得る?
とか勝手に想像してました。

なんにせよ、この後にテセウスはアイゲウスの後を継いでアテナイの王となりました。

最後に

ミノタウロスに関連する話はこれで終わりなんですが、テセウスは生まれてからアテナイに向かう道中に、様々な怪物や山賊を倒した。といったことを書きました。

また、王になった後もヘラクレスと冒険したり、イアソンのアルゴナウタイに参加したりしています。
それぞれを詳しく書くと、また回数がかかりそうなんですが、次回はそれらを軽く紹介したいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。