北欧神話-14 オーディンとクヴァシルについて

どうも、元山狐(もとやまきつね)です。

今回はオーディンがコソ泥のように巨人からお酒を盗む。という話を紹介したいと思います。
とはいえ、このお酒はただのお酒ではありません。

それを飲めば、たちまち詩の才能に溢れるという魔法のお酒です。
個人的にこの話はツッコミどころが多く、生理的にうけつけにくい部分もあるんだけど、北欧神話って結構こういうシーン多いんですよね。




アース神族とヴァン神族の唾から生まれたクヴァシル

アース神族とヴァン神族の戦争の後、両部族の神々は、一つのツボに唾を吐きかけました。

そして、たんまり溜まった唾から1人の人間を作りました。

もう、この時点で
「ウェーきったねーw」
と思うんだけど、参考書籍では割にフラットなトーンで紹介されてます。

和解の記念として作られた、彼はクヴァシルといい、どんな質問にも答えることができる頭脳明晰な人間でした。

しかし、それを妬んだ小人が・・・

クヴァシルは人間に知識を広める為に旅をしていましたが、フィアラルとガラールという小人が、クヴァシルの知識を妬んで殺してしまいました。

この殺人鬼達は、クヴァシルの血に蜜を混ぜて蜜酒を作りました。

元は神々の唾、中には痰も混じってたかも・・・それから作られた人間の死体から流れる血と蜜から作られた酒・・・。

罰ゲームで飲むヤツやん!!
いや、罰ゲームでも嫌やわ(笑)

しかし、この蜜酒は飲んだ者に詩人や学者に匹敵する知識を与える魔法のお酒でした。

蜜酒を巡って争いが

この蜜酒の噂を聞きつけたギリングという巨人が、この小人の元を訪れました。

しかし、この小人達は蜜酒欲しさに再び殺人を犯すのでした。

更には、ギリングを探しに来た妻までをもその手にかけてしまいます。

しかし、今度は両親を探してスッツングという巨人がやってきました。

彼は
「俺の両親は、あの小人達に殺られたに違いない!」
と、思っていたので、2人を掴み溺死させようとしました。

そこで、この小人達は命乞いをして、蜜酒をスッツングに与えました。
(スッツングもこれに応じたらしい、親の仇の割には軽いですね・・・。)

スッツングは、この蜜酒を自分の住む山に厳重に保管して、娘に番をさせました。

この蜜酒のことを知ったオーディンは、
「本来クヴァシルは神のもので、巨人族に持たせておくなんてとんでもない!」
と、考えました。

そこで、スッツングのもとに乗り込み・・・

とはせず、
彼の兄弟に近づき、親切に接して音を売ると、兄に蜜酒を一口飲ませるように話させますが、断られました。

結果オーディンは鷲に化けて(以前ロキがフレイヤ、またはフリッグの鷹の羽衣を借りて鷹に変身するシーンがありましたが、オーディンも鷲の羽衣みたいなアイテムを持っていたのかな?)、蜜酒を全て口に含んで、盗み出しましたとさ。

という、「戦いの神」を全く感じさせない方法で蜜酒を手に入れました。

このお酒、アナタは飲みたいですか?

ここまでの話をまとめますと、
神々の唾を貯めて作った人間の死体から流れ出る血と蜜から作った酒、さらにオッサン(オーディン)が一度口に含み吐き出した物。

ということになります。
・・・うーん、汚ねぇ(笑)

しかし、一口飲めば、頭が良くなり、詩が書けるようになるんだよなぁ。
生理的にはかなりキツイけど、見返りも大きいので、目の前に出されたら悩むでしょうね。

このエピソードのこともあって、オーディンは詩の神とも言われます。
先日書いた女神イズンの夫ブラギも、詩の神と呼ばれていますが、実はオーディンと同一人物で、オーディンの別名が別の人格と認識されたもの。という解釈もあるようです。

そう考えると、イズンもオーディンの妻ということになるのかな?

まぁ神話なんてものは古いですから、諸説あったり矛盾もあって、それも楽しみの一つなのかな。と思います。

もしオーディンとイズンが夫婦だとしたら、正妻のフリッグは、イズンとは仲が良くないと思うんだけど、イズンのリンゴ無しに若さを保つことは出来ないでしょうから、リンゴを渡す時イズンはどんな表情だったんだろう・・・とかね、そんな妄想が大好きです。(笑)

じゃ、そんなところで、次回からも、神々が起こす様々なエピソードを書いていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。