どうも、元山狐です。
前回までオイディプスとテバイのことを書いていましたが、今までテバイがどのようにしてできたかを書いてきませんでした。
自分の中でこれはミスしたなぁ。と思ってます。
テバイはカドモスという人が建国しましたが、経緯にはゼウスやアレス、アテネらが絡んでいて、神々とも何かと因縁ある格好で成立した国です。
今回はその経緯を紹介します。
妹がゼウスに連れ去られる
カドモスはフェニキア地方のテュロスという国の王アゲノールの息子でした。
アゲノールにはエウロペという大変美しい娘がいました。
しかし、例によってゼウスは彼女に恋をしてさらってしまいます。
この話ですが、以前英雄ヘラクレスの難業のエピソードで紹介しています。
この記事を書いていた時、僕はカドモスのことを全く知りませんでした。笑
が、こうやって見ると英雄時代の登場人物達は結構絡み合っていることが多いですね。
娘を溺愛していた、アゲノール王は息子達に妹を取り返してくるように命じ、見つけるまで帰ってくることを禁じました。
最悪後継者がいなくなるとか、考えなかったんだろうか・・・。
更に難解なことに、カドモスには母のテレパッサが同行しました。
妹1人の為に妃も出すのか・・・。
もしかしたら、カドモスがまだ幼かったとか理由があったのかもしれません。
妹捜索のために旅立ったカドモスですが、道中で母が倒れ亡くなってしまいます。
方向転換し建国
母を亡くしてしまい、カドモスは途方に暮れます。
今後の方針をどうしようか・・・。
困った時の神頼み!
ということで、カドモスが向かったのはアポロンのいるデルポイの神殿でした。
そこで出た神のお告げはこうでした。
「妹はあきらめて、これから出会う牡牛の後をついて行き、牛が横たわった場所に都市を建設しなさい。」
なんじゃそのトンデモな神託わ!
と思うのですが、カドモスはその神託に従っています。
そして出会った牛が横たわった場所こそ、カドメイアという都市でして、後のテバイとなるのです。
っていうか、妹エウロペも牛(に化けたゼウス)にさらわれるし、その息子ミノス王も牛によってポセイドンから怒りを買い、妻のパシパエを牛に寝取られ、パシパエと牛の間に生まれた半人半牛の化物ミノタウロスに悩まされることになるし、なんというか、このあたりのエピソードは本当に牛まみれですね。笑
アポロンについては、この記事でも紹介しています。
カドモスとアレス
カドモスはアテナを信仰していたので、前述の牛をアテナへの捧げ物にしようと考えました。
その際に、家来達に水を汲みに行かせました。
家来達は森の奥に泉を見つけ、そこから水を汲もうとしましたが、この泉は戦いの神アレスのもので、アレスの子のドラゴン達が守っていました。
凶暴なドラゴン達はカドモスの家来を皆殺しにしてしまいます。
家来達が帰ってこないのを不審に思ったカドモス。
彼らを探しに森に入り、ドラゴン達と遭遇します。
カドモスはドラゴン達を退治して、家来達の敵を討ち果たしました。
そこにアテナが現れて、ドラゴンの歯を抜いてカドモスに渡し
「この歯を耕した地面に蒔くといい」
といいました。
カドモスがそのとおりにすると、あら不思議!
地面から戦士たちが現れ、互いに戦いはじめました。
そして、最後に残った者たちがカドモスの家来となりました。
ドラゴンの牙から生まれる戦士といえば、イアソンのエピソードにも登場しましたね。
カドモスはアレスの子(ドラゴン)を殺した罪を償う為に、8年もの間アレスの下僕となって仕えました。
そして、8年が過ぎるとゼウスはアレスとカドモスを和解させ、アレスとアプロディテの娘ハルモニアを妻として与えました。
テバイ王家の悲劇
カドモスとハルモニアの結婚式には、オリンポスの神々が贈り物を持って参加しました。
中でも目立ったものは、アテナからの衣と、ヘパイストスからの首飾りでした。
以前ヘパイストス、アプロディテ、アレスについて紹介した記事を書きましたが、この3神の関係は複雑でして、アプロディテとアレスの子供であるハルモニアにヘパイストスはあまりよい感情を持っていませんでした。
だからなのか、この首飾りにはヘパイストスのハルモニアに対する怨念がこもっていまして、この首飾りを秘宝とするテバイ王家には代々に渡り悲劇が続きました。
・・・ということで、オイディプスの話やその後の話に続くというカンジです。
最後に
こうやって書いていると、オイディプスの前にカドモスの話を書いておくべきだったなぁ。と思います。
まぁ、とりあえずはこれでテバイ王家の主だった部分は一通り紹介できたのかな。と思っています。
で、次回からはテバイ王家の争いと並んで、英雄時代の終焉の原因となったと言われているトロイア戦争について書いていきたいと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。