ギリシア神話-56 トロイア戦争(5)

どうも、元山狐です。

今回もトロイア戦争について書いていきます。前回から戦争が本格的に始まって両軍ともに多数の死者が出ました。

トロイア戦争の中で最も有名な英雄とい言えば、戦士アキレウスが挙げられるかと思います。

今回はそんなアキレウスの活躍を中心に記事を進めていきたいと思います。

トロイア戦争についても、もうすぐ後半ってところまできました。




アキレウス vs ヘクトル

前回、親友のパトロクロスをヘクトルに殺されてしまい、怒りに震えながら戦場に向かったアキレウス。

Netflixのオリジナルドラマ「トロイ伝説」では、アキレウスはバイセクシャルでパトロクロスとも肉体関係を持っていて、ドラマのオリジナル設定とか思ってたんですが、どうやらこの設定は一般的な解釈のようです。

そういえばヘラクレスもバイセクシャルだったし、ギリシア神話にはLGBTな神々や英雄が多いのかな?
なんとなくキリスト教化されるまではそういうのに寛大というか、自然なものとして捉えられていたように思います。

ともあれ、アキレウスのパトロクロスに対する想いは並大抵のものではなかったようです。

戦場に戻ったアキレウスは早速ヘクトルに一騎討ちを挑みます。

で、ヘクトルとアキレウスは壮絶な戦闘を繰り広げるのですが、結果的にはアキレウスの勝利。
ヘクトルは命を落としてしまいました。

アキレウスとトロイア王プリアモス

友の敵討ちを果たしたアキレウスですが、それだけでは怒りが収まりませんでした。

戦争で戦死したものには、その誇りを称えた葬儀が行われるものですが、アキレウスはヘクトルの遺体を持ち帰り、野晒しにして辱めます。

トロイア側にはとても屈辱だったと思います。
そこで、ヘクトル、パリスの父でありトロイアの王でもあるプリアモスは単身でアキレウスの陣営を訪ねて、ヘクトルの遺体を返してもらえるように懇願しました。

戦争という状況で、敵方の王が単身で来たら捕らえて敵国に克服させるとか、殺してしまうとかしそうですが、アキレウスはそうはしませんでした。

プリアモスの行動に敬意を評して、アキレウスはプリアモスの願いを聞き入れて、ヘクトルの遺体を返すことにしました。

更に葬儀の期間中は、停戦したいという申し出も受け入れました。

武力に優れた英雄ですが、誇りを尊重する人格者でもあったんでしょう。

アマゾンらが加勢

ヘクトルを失い、悲観するトロイア陣営ですが、戦闘部族アマゾンらがトロイアに加勢してくれます。

ギリシアとアマゾンの関係と言えば、以前ヘラクレスの難業でアマゾン女王の腰帯を持ってくる任務があり、その際のいざこざで恨みを買っています。

ギリシア神話-35 英雄ヘラクレスと10の難業(9)

ちなみに、この難業には別の英雄テセウスも同行しています。

ギリシア神話-46 英雄テセウスの他エピソード

これに勢いを取り戻したトロイア陣営。
再び戦争が始まると、アマゾンらと共に奮闘します。

特にアマゾンらの女王ペンテシレイアはかなり活躍をしますが、最期はアキレウスに討たれて死んでしまいます。

その時、ペンテシレイアの美しさに気付いたアキレウスは、殺してしまったことを悔やんだとか。

その後も、トロイア軍は奮闘しますが、アキレウスの無双状態は続きます。

アキレウスの最後

無双状態のアキレウスですが、彼とて完全無敵ではありませんでした。

トロイア戦争の3回目の記事にも書いたのですが、彼には弱点があります。

生まれた時に、母テティスはアキレウスを不死にするため冥府のステュクス川に彼を浸しました。
無双の強さを持ち、実際に戦争でも大活躍するのですが、実は川に浸けられた時に、母親が踵を持っていた為、そこだけが唯一の弱点となっています。

で、トロイアの城壁前で戦っていたアキレウスに、弓矢を得意するパリスが矢を放ちました。

その矢がアキレウスの踵に当たってしまい、ギリシア軍最強の戦士アキレウスはそれが元で戦死してしまいます。
※あ、ダジャレではありません。(笑)

このエピソードから、アキレウスの弱点だった急所(踵)の筋がアキレス腱と名付けられた。ってのは有名な話ですね。
完全無欠と思える英雄に、こういった弱点があるっていうモチーフは、北欧神話のジークフリートという英雄の話にとても似ていまして、いずれジークフリートについてもこのブログで取り上げていきたいですね。

話は元に戻りますが、こうして、ギリシア・トロイア両陣営ともそれぞれの最強戦力を失ってしまいました。

しかし、それでも戦争は終わることはなく、ゼウスの「人間の数を間引くキャンペーン」(トロイア戦争の目的はそこにある)は粛々と進められます。

ということで、次回に続きます。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。