ギリシア神話-35 英雄ヘラクレスと10の難業(9)

どうも、元山狐です。

これまでのヘラクレスの難業は「退治」とか「捕獲」といった類のものが多かったんですが、今回エウリュステウスがヘラクレスに命じたのは
「アマゾンの女王が身に付ける腰帯を持ってくること」
でした。

初の「持ってくる」シリーズ(?)ですが、アマゾンの女王の腰帯を持ってこいって、なんだか性癖みたいなものを連想しちゃうのは僕だけでしょうか?(笑)




アマゾンについて

熱帯雨林の名前だったり、部族の名前だったりで有名なアマゾン

軍神アレスとニュムペ(精霊)のハルモニアを祖とし、黒海沿岸付近を拠点とする女性だけの部族です。
※かつて黒海はアマゾン海と呼ばれていた。

馬の扱いを得意とし、弓や槍、斧の扱いにも長け、狩猟をして生活していたようです。

女性だけの部族ということですが、子を作るときは他の部族の男性を訪ねて交わったそうで、男児が産まれると、「殺す」「障害を負わせて奴隷にする」「男性側に返して、女児だけ育てる」など言われています。

民族を絶やさない為に、協力関係にある他の部族があったんでしょうか。
もしくは、アマゾンの支配下にある部族がないと、これらの仕組みを維持するの難しそうですよね。

いずれにせよ、アレスの系譜のことを考えると文化的に遅れがあり、粗野で野蛮なイメージです。

ヘラクレスの作戦は

ヘラクレスはこの難業を達成するにあたり、
「きっと腰帯をくれ。と言ったら争いになるだろうな。仲間を連れて行こう。」
と、考えました。

そこでヘラクレスはテセウスをはじめとした勇士を集め、船を仕立て、アマゾンらが住む黒海沿岸まで航海し、アマゾンの女王ヒッポリュテのもとを訪ねました。

ヘラクレスの後にイアソン、テセウスあたりの英雄を書いて行こうと思っています。

まだ深く読んでませんが、軽く見た感じ、上記の英雄らは意外に交流があったみたいです。
まぁ、それは後々の記事で紹介していけたら、と思います。

しかし、話は意外な方面へ。

強靭な肉体を持つヘラクレスたちを見た、アマゾンの女王ヒッポリュテは
「自分たちとの間に、丈夫な子供を作ってくれるなら、腰帯をあげるよ。」
という条件で、腰帯を渡してくれることになったのです。

なんというか、すごく肉食女子ってカンジ。
でも女性だけの部族を維持するにはこれくらいのことはしないといけないのかな。

ともあれ、ヘラクレスたちはこの条件を受け入れました。

なので、争いが起こることはなかった・・・たのですが、ヘラクレスを亡き者にしたいのは難業を与えたエウリュステウスだけではありません。

最近あまり登場しませんでしたが、ゼウスの正妻であり、ヘラクレスを憎む、オリュンポスの女王ヘラです。

ギリシヤ神話-10 ヘラ、デメテル、ヘスティアについて

ヘラの罠

ヘラはアマゾンの女戦士の一人に化けて、アマゾンたちに
「異国からきた男たち(ヘラクレスらのこと)が女王を連れ去ろうとしている、さぁ皆で我らの女王を守りましょう!」
と言い出しました。

それを聞いたアマゾンたちは、ヘラクレスが乗ってきた船を襲撃します。
突然襲撃されたヘラクレスは激怒!
簡単に腰帯を渡して、油断させたところを襲撃する罠だと思ったのです。

結果、ヘラクレスはヒッポリュテが身の潔白を訴えるのも聞かずに、彼女を撲殺し、腰帯を奪い、襲ってきたアマゾンらを蹴散らし、船に乗ってギリシアにエウリュステウスのもとに帰還しました。

その後、冷静になって、話くらい聞けばよかったと反省したそうですが、女性を撲殺するってよっぽどですよね。

まぁしかし、これがヘラクレス本来の人格がそうなのか、ヘラの魔術によってそうさせられたのかは謎です。

以前、ヘラクレスはヘラに狂わされて、自ら愛する子達を殺してしまったのだから、それに比べたらアマゾンの女王を殺させるのは分けないと思うんです。

実際これでアマゾンが全滅したわけではないし、生き残った女戦士達はヘラクレスを恨んだハズです。

ヘラとしては、ヘラクレスを亡き者にするのは失敗しても、彼を恨む勢力ができただけでも成果あったんじゃないでしょうか。

ともあれ、結果的にはヒッポリュテの腰帯を手に入れたヘラクレス。
今回の難業も達成したのでした。

最後に

このエピソードに登場した、アマゾンの女王は争いを望んだわけでもなく、平和的な解決をしようとしていました。

それを同じ女性(とはいえ女神だけど)であるヘラが私怨の為にぶち壊して、結果女王は命を落とすことになるんだから、あまり後味のいい話とは言えませんね。

まぁ、それはそれとして、今回は難業として初めての「持ってくる」という種類の任務でした。

冒頭に書きましたが、今までは「退治」とか「捕獲」の類がメインでした。

残る難業は3つでして、先にネタバレしちゃいますが、残りの難業は「捕獲」と「持ってくる」に分類されるものになります。

そう考えると「家畜小屋の掃除」はかなり特異だったように思います。

ギリシア神話-31 英雄ヘラクレスと10の難業(5)

勝手な妄想ですが、エウリュステウスも10(12)も難業を考えるのはアイデア不足に悩まされていて、半ばこじ付けで掃除の難業は思いついたのかも知れませんね。

僕の気力が持続するかは微妙ですが、残りの難業とヘラクレス関連の記事は、他のテーマの記事を挟まずに一気に書いていきたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。