どうも、元山狐(もとやまきつね)です。
今回はオーディンの息子ヘイムダルが活躍するエピソードでは有名な「リーグの詩」という話を紹介したいと思います。
概要としてはヘイムダルがアースガルズからミズガルズ(人間たちの世界)に渡り「リーグ」と名乗りながら、人間の世界を回り、人間に今までなかった、「奴隷」「農民」「貴族」などの社会階級を作った。というものになっています。
社会階級を作る為に行われた旅
北欧神話において、人間はかなり初期の段階で登場しています。
※オーディンとヴィリ、ヴェーの3兄弟が浜辺に落ちていた流木から人間を作ったといったことを書きました。
時系列的には、それからある程度の時が経ち、アース神族とヴァン神族の戦争が終わった後のことだと思います。
この当時、人間には社会階級がありませんでした。
今回の旅は、ヘイムダル自身が
「人間に社会階級を作ろう」
と思って、行われたものなのか、もしくはオーディンから命じられて行われたものなのか。
調べたんですが、手持ち参考書籍やネットのソースからはわかりませんでした。
オーディンらに作られたはずの人間たちが「ヘイムダルの子ら」と表現されることがあったり。
「ヘイムダル自身が実はオーディンより古い時代の神」という説があったり、調べれば調べる程、僕の頭ではわからんちん・・・。
なので、以下は僕の勝手な妄想です。
以前オーディンを紹介する記事で、彼は異常なまでに(自らを槍で突き刺したり、片目を失ってまで)知識を習得することに執着していますし、ヴァルハラ宮殿に優れた戦士(死んだ戦士の魂)を集めた。といったことを書きました。
そして、それらは全てラグナロクに備える為、と書きました。
で、今回の話の当時は人間には社会階級もなく、おそらく戦士という種類の人たちもいなかったのだと思います。
社会階級ができることで、戦士が生まれることになるかと思いますので、オーディンはそれを見越してヘイムダルにこの旅を命じたんじゃないでしょうか。
(という僕の妄想です。笑)
で、話は少し変わりますが、まだ僕の妄想内でのことを書きます。
以前のヘイムダルの紹介でも書きましたが、彼はアースガルズの番人を担ってます。
ヴァン神族との戦争が終わった後とは言え、巨人族との争いもあったでしょうし、ヘイムダルが旅に出ている間、その見張りの仕事は、その間はどうしていたんでしょうか。
オーディンにはフギンとムギンという偵察用のカラスがいるから、その間は周辺を彼らに監視させていたのかな?
ということで、僕の妄想はこのあたりにしておいて、ヘイムダルはミズガルズに向かうことになりました。
彼は、ギャラルホルン(角笛)をミーミルの泉に置いてきて、愛馬のグルトップを置いて、「リーグ」と名乗って人間界に渡ることにしました。
まず奴隷階級ができた
まずリーグ(ヘイムダル)が訪れたのは、嵐が吹けば崩れてしまいそうなあばら屋です。
そこにはアーイとエッダという老夫婦がいました。
リーグは3日の間彼らとすごし、いろいろな助言を行ったそうです。
そして、3日たつとリーグは彼らのもとを出て次の目的地に向かいました。
そして、後にアーイとエッダの間にはスレールという名の息子が生まれました。
名前には「奴隷」という意味があります。
スレールは容姿は醜いものの、逞しい青年に育ち、ある日シール(働き者という意味)という娘があばら家にやってきました。
この娘も容姿は醜かったそうですが、二人は互いに惹かれ、たくさんの子供を作りました。
こうして、体が丈夫でよく働く種族、つまり「奴隷」階級ができました。
旅をする中で他の階級ができた
リーグは旅を続けました。
次に訪れたのは農場です。
そこでアヴィとアンマという夫婦に出会い、先程と同じ流れですが3日の間彼らとすごし、いろいろな助言を行ったそうです。
そして、後にアヴィとアンマの間にはカルルという名の息子が生まれました。
名前には「自由農民」という意味があります。
カルルは逞しい青年に育ち、牛の扱いや、農具の作り方、小屋や納屋の建て方を覚えました。
彼の両親は、近くに住んでいたスネールという美しい娘を嫁として、招き入れました。
カルルとスネールの間にはたくさんの子供ができて、「農民」階級ができました。
次にリーグが訪れたのは立派な館です。
そこでファジルとモージルという夫婦に出会い、またまた3日の間彼らとすごし、いろいろな助言を行ったそうです。
そして、後にファジルとモージルの間にはヤルルという名の息子が生まれました。
名前には「王侯」という意味があります。
ヤルルも逞しい青年に育ち、彼は槍や盾、弓や剣など武術や狩りの技術を覚えました。
そして、ある日ヘイムダルはヤルルを訪ね、自身が名乗っていた名「リーグ」(「王」という意味。)を与え、ルーン文字も教えました。
その後、ヤルルは周囲の館を攻めて、支配し18もの館を所有したそうです。
多くの富を得ましたが、家来たちには気前の良い王で、金でできた指輪や腕輪、宝石などを与えていたようです。
その後も旅をする中で、エルナという娘と出会い、結婚して多くの子を得ました。
こうして「貴族」階級ができました。
最後に
今まで紹介した神話では「社会階級ができた経緯」って語られていた記憶がないので、そういう意味ではすごく新鮮だったな~。と思って紹介しました。
勉強したことないけど、インドの「カースト」なんかも神話で成立について書かれているかも知れませんね。(現時点では知識がないので、根拠は全くありません。笑)
次回は、時系列的にはちょっと微妙なんですが、若さの女神イズンが誘拐されるエピソードを紹介したいと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。