エジプト神話-9 セトに迫害されるイシスたち



今回もエジプト神話の続きを書きます。
夫オシリスと離別することになったものの、夫と交わり子を身籠ることに成功したイシス。
しかし、セトはそんなイシスを放っておくはできず、彼女に悪意をぶつけてからかったり、軟禁したり、挙句の果てはホルスを命の危険にさらしたりします。
こうやって物語を読む人たちの顰蹙を買うセトでした。(笑)

セトに迫害されるイシスたち

オシリスの子(ホルス)を身籠ったイシスと付き添っているネフティスは、ナイルの岸辺を散策している時にセトに出会いました。

セトは
「エジプトのファラオ(セト)が身内を乞食同然のまま野をさまよわせてはいけない。」
と言って、2人を収容施設に軟禁しました。

手元にある本には、このシーンでネフティスのことを「元妻」という表現をしていたので、既に離別していたんでしょうね。
兄と不倫して、兄の子供を産んだ時点で見捨てたのかな。
アヌビスはオリシスとともに冥界に旅立ったので、手を出されなかったようです。

エジプト神話-8 オシリスの遺体集めと復活の儀

イシスとネフティスは日々の亜麻をつむがされては、報酬としてパンを食べる日々を過ごします。
その間もセトは時々イシスの前に現れては、兄のオシリスのことを悪く言ったり、イシスをからかっていました。

そうこうしているうちに、やがてイシスが子(ホルス)を出産しました。
ホルスが産まれてからも、セトは相変わらずイシスの前に現れては彼女のことをからかっていました。
とはいえ、セトはホルスに直接手を出すこともなく、ホルスは育っていきました。

しかし、セトも段々とイシスをからかう程度では満足できなくなってきました。
こうなってくると、セトのやることと言えば、いずれ自分の王位を脅かす可能性のあるホルスを手にかけることになりますよね。

しかし、この親子は、この状況を見かねた知恵の神トトによって救い出されます。
トトの魔術によって、収容施設の見張りたちにイシスたちの姿は目にとまらないようになっていたのです。
っていうか、ネフティス置いていくんかい(笑)
※本によってはイシスとネフティスは一緒に救い出されて脱出しているような表現がされている。

一方イシスは、この魔術が解けた後にセトの手下たちが自分たちを追ってくるのを恐れて、七匹の蠍に自身護衛をさせました。

とても多いんだね。(笑)
この蠍たちは蠍の女神セルケトがイシスとホルスを守るために送ったという説、イシスの魔術によって呼び寄せた(というか創り出した?)説があります。
※女神セルケトはイシスの眷属ともいわれている。

セトの収容施設から逃亡している道中で、イシスはウセルトという富豪に冒涜されます。
イシスは先を急いでいるので、これっぽちも気にしませんでしたが、主を侮辱された蠍は復讐をしました。
七匹の中でもっとも毒の強いテフヌトが、この富豪の息子を刺したのです。
ウセルトがこれに気付いて嘆いていると、それに気づいたイシスは魔術を使って解毒します。

まぁそんな小さなエピソードを挟みながら、親子はセトの追手から逃げる日々を過ごしていきます。

ホルスがセトの毒牙にかかる

セトの収容施設から逃れたイシスはセトとその手下たちから隠れて過ごしていましたが、ある日セトの送った刺客(毒蛇)にホルスが嚙まれてしまいました。

それを知ったイシスが嘆いていると、セトの元から逃れてきたネフティスが駆け寄ってきました(そんな偶然あるかい(笑))、そして蠍の女神セルケトもやってきました。
(自分が送り込んだ蠍たちがホルスを守るのに失敗したから?(笑))
そして、3人はその悲しみの力で、なんと時を止めてしまいます。
今までそんな能力の片鱗もなかったからびっくりです。(笑)

しかし、時の神といえば、やはりトトです。
どうやら時間が止められた世界の中でも、トトは動くことができるようで。

エジプト神話について-2 ヌトの出産

「私以外にも時を止めることができる者が!?」
※なんかここジョジョの3部を思い出しました。(笑)

と、驚いたトトは3人の元にきて事情を聞きました。
そして、トトはホルスを治癒(本では毒で死んだような描写だったので復活?)しました。

イシスはオシリスみたいに我が子を蘇らせることができたのでは?(ラーの真名の力に生と死を欲しいままにする力がある)
と思うんだけど、「息子の死を目前にしたイシスは、夫オシリスを失った時同様の恐怖感がよみがえり、魔法も失われたも同然の状態になって息子を癒せなかった」といった風なことが書いてありました。
魔術の力も精神状態によるカンジなんでしょうね。

こうして、ホルスは一命を取り止め、この後ホルスはすくすくと育ちましたとさ。

話は本筋から脱線?しますが、この事件以来、イシスが留守の際にはコブラの女神ウアジェトがホルスを護衛することになりました。
やっぱり蠍たちが役に立たなかったことを根に持っているのかな?(笑)
それとも蠍はあくまでイシスの護衛で、ホルスはウアジェトが護衛ってことで分業なのかな?
これが前者、後者のどちらなのか気になったんだけど、あんまり参考になるような情報は得られませんでした。

続きは次回に続けたいと思います。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。