エジプト神話-16ホルスとセトの争い その7(やっと決着)


前回柿の種を仕込まれて(違)、またも劣勢になってしまったセト。
しかし、ホルスとセトの争いは決定打にかけ、未だに決着をしていませんでした。
ホルスもいい加減にこの争いに嫌気がさしてきたようで、今回またネイトを尋ねます。
そして一気に流れが代わり、この争いに決着がつきます。
個人的に持っていたイメージよりちょっと後味悪いです。



ホルスがネイトに会いに行く

冒頭にも書きましたが、ホルスもこの長く続く戦いにいい加減嫌気がさしていました。

そこで、以前もこの争いでアドバイスをくれたネイトのもとを訪れることにしました。

以前ネイトは
「王にはホルスが相応しい」ということと、
「この件で互いに争うことをやめるように、もし争えばネイトの怒りによって二人に災いが起こる」
というようなことを言っていましたが、結局争いは続いているのに、特に大きな災いは起こっていませんよね。

自身の言うことを聞かずに、争いを辞めない二人にこれ以上関わる筋もないと思うのですが、ネイトは「死者の国の王」つまりオシリスの意見を聞いてはどうかと助言をしてくれます。

エジプト神話-13ホルスとセトの争い その4(バトルものっぽい展開)

このネイトの助言はラーのもとに届けられました。

オシリスはホルスの父親だし、セトに殺されたんだから、絶対にホルスに優位となる意見を出してくると思うんですが、ラーはあっさりとトトに命じて、オシリスに手紙を送らせました。
ラーもこの長い戦いにうんざりしていたのかな?

謎のレスバトルが勃発

トトが手紙を出して数日後にオシリスから手紙が届きました。

手紙には、ホルスをエジプトの王にすることを要求する意見が書かれていました。
そこまでは多分誰もが予想していたと思うのですが、手紙にはさらに以下のようなことが書かれていました。

  • ホルスが継ぐのが当然の遺産をなぜ奪われないといけない?とか。
  • 人間に糧を与えて健やかにしたのはこの私(オシリス)だよ?とか。
  • 穀物を作って神々を養い、生けとし生けるものを養っているのも私だよ?
  • 私の代わりに、そのようなことができる力を持つ神がそっちにいます?

それを聞いたラーはオシリスにムカついてきました。(笑)
そこで、ラーは
「万物の創造主は私(ラー)で、私の意思が絶対だ。」
といった内容の手紙をトトに書かせました。
※本当にそうなら、他の神の助言は不要なんだけどね・・・。

こうして、ラーとオシリスの「どっちが偉い神様か」的なレスバみたいなものが始まってしまいました。
さっさとホルスとセトの審判を進めろよ。(笑)

何日か経って、またオシリスから返事が届きました。

手紙を読み上げるのはトトの役目なんですが、トトも嫌だっただろうなぁ・・・。

手紙には以下のようなことが書かれていました。

  • 正義はオシリスとともにあること。
  • 今や冥界には地上の神々をも超える戦力があり、オシリスがラーよりも力が強いこと。
  • 力ずくで願いをかなえることもできるが、プタハの命でとどまっていること。
    ※プタハはメンフィスの方で信仰では創造神とされているとても強大な神。

これ絶対争いになっちゃうヤツじゃん!
と思ったけど、そうはなりませんでした。

ラーは、この言葉に真実味を感じたのでしょうか。
手持ちの本には「ラーは長い間黙り込んで、オシリスの言葉の意味をかみしめた」といった書き方がしてあります。

ラーはとうとうホルスを2つの国(上エジプト、下エジプト)の王として、認めたのです。

セトは反旗をひるがえした

前述の審判にセトは当然納得をしませんでした。
そして、反旗をひるがえしました。

ラーの軍がラーとホルスを伴って、セトの軍を攻めます。
セトの軍も抵抗しますが、もはやこの2人の神の前には敵うハズはなく、追い詰められてしまいます。
しかし、この時セトはなんとか自身は逃れることができました。

こうして、セトを追い詰めては、セトは逃れ・・・みたいなことが何度か続きました。

しかし、最後にはホルスとセトは一騎打ちとなり、ホルスが完全勝利することになります。
今までは互角だったり、なんならセトの方が強い場面もあったけど、やはり王と認められると力も増すのかな?

ホルスはこの男(セト)の処分をどうするかラーに尋ねましたが、ラーは「イシスに決定させる」と言いました。

イシスの決断

今までのイシスはセトを憎んでいながらも、水中対決の時などは兄を哀れに思って、命まで奪うようなことはしませんでした。
むしろ兄であるセトをかばうことで、自身が息子に首を刎ねられるということになったくらいでしたね。

エジプト神話-11ホルスとセトの争い その2(ドタバタスプラッターコメディ?)

しかし、今回はそういった温情は全くなかったようで、イシスはホルスの件でたちまちセトの首を刎ねました。
それどころか、セトの体をバラバラにして、あちこちにばらまいてしまったのです。

夫のオシリスと同じ目にあわすことで復讐を遂げたってことなのかな?

ただ、これには諸説あるようで、セトはこういう最期を迎えたのではない。とか。
まだ最後の戦いは行われていない。とか。
いろんな説というかバリエーションがあるみたいです。

自分的には最後はイシスが慈愛の心を見せて、セトが改心するってのが一番漫画っぽいというかスッキリする最後だと思っていたし、なんとなくそんなイメージを勝手に持っていました。
それに比べると、結構生々しくて後味の悪い終わり方だな。って印象です。

7回にわけて、ホルスとセトの争いについて書いてきましたが、このエピソードに登場する神や、このエピソードに登場していないけど、有名なエジプトの神とかも記事にしていきたいと思います。

まぁ、この記事でオシリス神話については一旦一区切りがついたってことで。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。