前回は、英雄ペルセウスの誕生について書きました。
ペルセウスの逸話として有名なのが
- メデューサ退治
- アンドロメダ救出
あたりだと思います。
今回は退治されたメデューサのことも、もう少し掘り下げておきたいな。と思って、メデューサのことから書いていきたいと思います。
メドゥーサについて
メドゥーサといえば魔力を持つ目を持ち、その目を見たもの(厳密には直視)は石になってしまう。そんな化け物として有名ですよね。
ケルト神話にもバロールという、視線で相手を死に至らしめる怪物がいました。
他にもバジリスクとか、コカトリスとかカトブレパスなど悪意を持って相手を睨みつけることで呪いをかける、所謂「邪視」という能力をもったモンスターの伝承は多いです。
髪の毛は無数の毒ヘビで猪の歯を持ち、下半身が蛇体で、美しくも恐ろしい姿というイメージなんですが、元々がそうであったわけではありません。
元々は美しい娘だった
見出しのとおり、メドゥーサはもともとは美しい娘でした。
そんな美しさに目をつけたポセイドンは、彼女をアテナの神殿に連れ込んで交わりました。
さらっと書いたけど、ポセイドンもゼウスに負けず、好色者ということを以前の記事で書きました。
これに怒ったのがアテナ。
本来はポセイドンに報復するのが筋なのですが、アテナにとってもポセイドンは強大で恐れ多い存在でした。
そこで、アテナがとった行動は!
アテナに化け物にされてしまう
見出しのとおり、哀れメドゥーサは化け物に変えられてしまいました。
これに抗議した姉のステンノーとエウリュアレも同じく化物にされてしまいました。
八つ当たり!?と、とれなくもありませんが、別説によるとアテナと美を競った時に自慢の髪を蛇に変えられた。という説もあるみたいです。
以降ステンノーとエウリュアレ、そしてメデューサは「ゴルゴン3姉妹」と呼ばれるようになります。
ちなみに、理由はよくわかりませんが、メデューサ以外の二人ステンノーとエウリュアレは不死身だそうです。
多くの怪物たちの祖に
系図を見ますと、ガイアとポントス(海の神、原初の神でガイアの子)の孫にあたりますので、人間というよりは元々は神々に近い存在だったように思います。
まぁそもそもギリシア神話における初の人間の女性はパンドラということになっていますしね。
ペルセウスに倒された経緯は後に書くとして、ポセイドンと交わった際に・・・というかペルセウスに倒された際に流れ出た血から、空を駆ける天馬ペガサスと黄金剣を持ったクリュサオルが生まれたと言われています。
このクリュサオルが後に、オケアノス(ティタン神族の海神)の娘カリロエ(三千の娘の一人)とエキドナをつくり、エキドナとテュポンが様々な怪物を作り・・・ということで、多くの怪物たちの祖ということになります。
もともとはギリシアの先住民族の女神だった
少し「ギリシア神話」というテーマから脱線してしまいますが、もともとはギリシアの先住民族ペラスゴイ人たちの神話に登場する主たる女神だったそうです。
以前「旧約聖書」の記事で、士師が他の民族が崇拝していた神の祭壇や像を破壊した。といったことを書きました。
民族の侵略や移り変わりによって、神から邪悪なものに陥れられるというのは、よくあることらしく、メデューサもこのパターンに当てはまるのかな。と思います。
(成り立ちは、旧約聖書よりもギリシア神話の方が先だと思うので、探せば他の神話でもよくあるパターンなのかな。)
ペルセウスのメデューサ退治
ということで、メデューサのことを一通り紹介したところで、ペルセウスのメデューサ退治に関して書いていきたいと思います。
神々の助力を得る
大筋は前回の記事で書いたとおり、神々の助力(道具)を借りて、メデューサを倒した。
というのが大まかな流れになります。
ゼウスの子ということもあったのだと思いますが、
アテナからは鏡のように輝く盾(アテナの持つアイギスの盾だったという説も)を、
ヘルメスからは翼のついた靴と、ハルペーという癒えない傷を与え、不死身殺しの武器とされる曲刀を借りることができました。
そして、メデューサを殺すのに必要な道具を持っているニンフ(精霊)たちを訪ね、
メデューサの首を入れるためのキビシスという袋(おそらくメデューサの目の魔力対策がなされた袋だと思います。中が鏡のようになってるのかな?)
ハデスの隠れ兜を借りたとあります。
キビシスはともかく、なぜニンフがハデスの隠れ兜を持っていたんだろう?
以前ハデスを紹介した記事で、
「ハデスは妻との関係に疲れニンフと不倫をした」といったことを書きましたが、これに関連があるのかな?
ともかく、こうしてペルセウスはメデューサを倒すための武器・道具を揃えました。
メデューサを倒す
もうここは有名なシーンだと思うのですが、
ペルセウスはゴルゴン3姉妹の住まいを発見し、
皆が眠ったのを見計らい、ゴルゴン退治に乗り込みました。
アテナの盾を見ながら、メデューサの姿を視界にとらえ、
ヘルメスのハルペーで、メデューサの首を切り落とし、
その首をニンフのキビシス(袋)に入れました。
メデューサを殺されたことに気づいた、ステンノーとエウリュアレは怒りペルセウスを探しましたが、ハデスの兜で身を隠し、ヘルメスのサンダルでその場を逃げ去りました。
これにてメデューサ退治に成功!
しかし、なぜメデューサだったのでしょうか?
ステンノーとエウリュアレは不死身で、そうでなかったメデューサということも考えられますが、ヘルメスのハルペーは不死殺しの武器なので、ステンノーもエウリュアレも倒すことができたハズ。
なんとなく、アテネの私怨があったような気がせんでもありません。
このメデューサの首は、最終的にアテナに献上されまして、アテナのアイギスの盾の真ん中に埋め込まれたとあります。
アテナとしてもかなりの戦力アップになったのではないでしょうか。
最後に
今回メデューサがゴルゴンという怪物にされた経緯や、もともとは先住民族の女神だった。ということを書きました。
僕自身がメデューサについて、ここまでは知っておらず、今回この記事を書くために調べて書いているうちに、なんとも不遇でかわいそうな気がします。
それはさておき、ペルセウスの活躍劇としては他に
- アンドロメダ救出
- 新たな国の王に
- ディオニュソスとの戦い
なんかがあります。
今回でまとめて書こうと思っていたのですが、少し長くなってきたので、次回に続けたいと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。