どうも、元山狐です。
今回エウリュステウスがヘラクレスに命じたのは
「ヘスペリデスの守る黄金のリンゴの実を取ってこい」
でした。
アマゾンの腰帯に続いて、また「持ってくる」といった内容の難業になります。
ヘスペリスはニンフ(地上に住む美しい女性の精霊)です。
ヘスペリスが単数形、ヘスペリデスは複数系のようです。
「黄昏の娘たち」という意味らしくて、いかにも優雅なイメージですね。
この難業に関しては、大きく2つの説があって、両方とも面白く感じたので、今回は両とも紹介したいと思います。
その1.ラドンを倒しりんごを手に入れた
ヘスペリデスは世界の西の果にある「ヘスペリデスの園」に住んでいます。
楽園と呼ぶに相応しく、不死の飲み物である「ネクタル」が湧く泉があり、彼女らの美しい歌声が絶えず聞こえるそうな。
戦闘に向かないニンフだけでは、リンゴを守るのは難しいのでは・・・。
しかし、心配ご無用!
百の頭を持つ竜の怪物ラドン
が木の番をしています。
黄金のリンゴはゼウスとヘラの結婚の祝いとして、ガイアが送ったものです。
なので、ヘラがヘスペリデスに木の世話をさせて、ラドンに守らせている。といったところでしょうか。
上の絵だと、ラドンと思われる怪物の頭が一つしかなくて、ヘスペリデスとラドンの中も良好なカンジですが、
「木の世話をしているヘスペリデスが黄金のリンゴを盗むのを見たヘラが、ラドンに番をさせている。」
という説もあるみたいです。
ちなみに、このラドンもテュポンとエキドナの子供ですので、既にヘラクレスに倒されたネメアの獅子、ヒュドラ、オルトロスらとは兄弟にあたります。
では、話を本題に戻します。
ヘラクレスは「ヘスペリデスの園」がどこにあるか知りませんでした。
そこで、海神ネレウスを捕まえ、半ば無理やりヘスペリデスの園の場所を聞き出しました。
やっぱヘラクレスってジャイアンみたいなところがありますね・・・。
ちなみにこのネレウスですが、ガイアとポントスの子にあたります。
そして、ヘスペリデスの園に辿り着いたヘラクレス。
ラドンを倒して、黄金のリンゴを手に入れました。
毎回ながら、怪物とヘラクレスの勝負ってなんか呆気ないんだよな・・・。
※ヘラクレスは毒の矢で100の頭を1つずつ殺した。とあるので、そこそこ苦戦はしたと思います。
このラドンは、「りゅう座」となったとされていますが、聖闘士星矢でいうところの紫龍とイメージはかなりかけ離れていますね。
その2.アトラスに取りに行かせた
どうしてもヘスペリデスの園に辿り着けないヘラクレス。
そこで、彼は先見の明を持つプロメテウスの元(コーカサス山)を訪ね、縛られていたプロメテウスを開放し、助言を求めました。
そこで、ヘスペリデスの父親にあたるアトラスの元を訪ねて、彼に取りに行かせるのがよい。
という助言を受けました。
アトラスは以前プロメテウスの記事でも紹介しています。
ティタノマキアに破れ、ゼウスによって世界の果で天空を背負っています。
プロメテウスのことも含めて、この記事をご覧いただくとわかりやすいと思います。
その助言にならって、ヘラクレスはアトラスのもとを訪ねました。
そこで、プロメテウスの助言のことを伝えました。
アトラスは
「リンゴを取ってくる間、私に代わり天空を支えて欲しい。」
といい、怪力のヘラクレスは難なく代わりに天空を支えました。
関心したアトラスは、約束通り黄金のリンゴを取ってきてくれました。
「自分がエウリュステウスにリンゴを届けてくる。」
と言い出したが、ヘラクレスはそれを見抜いて
「では長い時間、支える必要があるから、姿勢を直したい、少し持ってくれ」
と言い、アトラスに渡したところで、そのまま帰ったという説もあります。
しかしリンゴはエウリュステウスのものにならなかった
1のパターンにせよ、2にせよ、黄金のリンゴはエウリュステウスの元に渡りました。
しかし、そこでアテナが現れて
「これは人間が持っていいものではない!」
とエウリュステウスを叱りつけました。
そして、エウリュステウスの手からリンゴを取り上げると、アテナはリンゴを元の木に戻したそうです。
最後に
パターン2の話では、ヘラクレスはこの時にプロメテウスを開放したことになっています。
以前書いた記事では師ケイロンの安楽の為、プロメテウスを訪ね開放したようなことを書きました。
こうやって比べると、今回のパターン2の方がしっくりくるんですが、神話っていろんなパターンのエピソードがあるので、それはそれで面白い。と思って読むのがいいんでしょうね。
さて、次回でヘラクレスの難業はようやく最後となります。
あ~長かった~(笑)
しかし、その後もヘラクレスのエピソードのいくつかを書いて、次の英雄の話を書こうと思います。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。